とりま文系歯科医師が自己投資。

読書好きな開成、一橋大卒文系出身歯科医師のマイペースブログ。読書を中心に学んだ知識をアウトプットすることで、何か社会が少しでも変わればなと思い開設。好きなテーマは小説全般、世界史、経済学、心理学、経済投資など。筋トレも趣味です。

読書感想:『大人の流儀11 もう一度、歩きだすために』

 不思議なことだが、悲しみ、もしくは悲しみの記憶は、ふいに、その当人に近づき、背後から全身を抱擁するかのようにやって来る。

(中略)

-あれ、今、私笑っていた?

 こうなれば回復は早い。早いのだけど、冒頭に書いた二行がやって来るのである。

 嘘ではないし、いつまでも悲しみを忘れられない、その人がおかしいことでもない。

 人間とは、そういう生きものであり、人生とは悲しみと、必ず遭遇するものである。

 

 お疲れさまです。スナフキンです。

 伊集院静氏の『大人の流儀』シリーズの最新刊、

『大人の流儀11 もう一度、歩きだすために』

の一節です。

 

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 週刊誌に連載したコラムをまとめた、『大人の流儀』シリーズも、最新作で十一冊目らしいです。非常に長いシリーズになっていますね。

 

 冒頭でも伊集院氏が述べていますが、好評の理由として考えられることと言えば、最初の5年は、あの東日本大震災が何だったのかを考え、書き続けたことにあるのではないか、と述べています。

 

 そして今は感染症のコロナ。

 

 東日本大震災を、間近で体験した筆者の経験を踏まえると、災いの真っただ中に身を置いた人々は、哀しみの連鎖に揺さぶられることが多かったのではないかと述べています。

 

 そんな悲しみに対して、人間はどうすればよいのか。

 筆者は、皆と手を取り、立ち上がり、歩みだそうという考えを持つこと、そして日々を懸命に生きていくことこそが重要と捉えています。

 『体調がよくなれば、立ち上がって歩きだそう』と言う意志をしっかり備えておくこと、自分も、心の中に、そうした強い意志を養う必要があるのだなと感じました。

 

 厳しいことばかりはカンベンして欲しい。

-厳しいことが続く年がありましたか?

 なくはない。それは人生だもの。皆と同じだし、私などラクな方だったのではと思う。

 誰しもが厳しい時間を経験している。

 皆そういうものを乗り越えて、今朝も、夕べも街のどこかを、町の小径を、平然と歩いているのが、世間というものらしい。

 

 

“人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている。”

 

ニッカウヰスキー『宮城峡蒸溜所』に行ってきました。

 お疲れ様です、スナフキンです。

 先日から仙台の方に旅行に行っていたのですが、その際に自分にとって人生で2回目の蒸溜所見学をしてきました。

 初めて行ったサントリーの山崎蒸溜所に続き、今回訪れたのは、霧深い峡谷に清流が流れる、ニッカウヰスキーの宮城峡蒸溜所でした。

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 宮城峡蒸溜所は、北海道の余市蒸溜所に次ぎ、ニッカウヰスキーの第二の蒸留所として1969年に創設。

 宮城峡は宮城県山形県との県境に近く、新川(にっかわ)と広瀬川が合流する豊かな水と緑に恵まれた土地。

 ニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝は、新川の水で『ブラックニッカ』の水割りを飲んだ際、この地での蒸溜所建設を即決したと言います。

 

 予約は必要になりますが、この蒸溜所は内部見学が可能で、自分も今回見学をさせて頂きました。

 

 麦汁を煮て、アルコールを作りだす銅板の釜を、ポットスチルと言うのですが、このポットスチルが宮城峡蒸溜所では特徴的なものとなっています。

 

 小さなポットスチルで石炭直火を行い、力強い個性を持つ余市蒸溜所に対し、宮城峡蒸溜所では、膨らみを持つ大型のバルジ型ポットスチル8基で、スチームによる間接加熱を行っています。

 その結果、宮城峡蒸溜所では、繊細で華やかなモルトウイスキー原酒を生んでいるのです。

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 宮城峡蒸溜所もウイスキー博物館や、有料試飲ができるバー、ショップなどが充実し、多くの観光客が訪れる蒸溜所となっています。

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 この場所でしか飲むことのできない原酒も試飲することができ、非常に有意義な時間になりました。

 

 また、宮城峡蒸溜所のあとは、定義という地にある有名な油揚げを堪能。これがめちゃくちゃ美味い。

 人生で一番おいしかった油揚げでした。

 最高の仙台旅行を満喫できました。

読書感想:『続・大人の流儀』

どんな生き方をしても、人間には必ず苦節が一、二度向こうからやってくる。そんな時、酒は友となる。

 

 前回紹介した大人の流儀でも、伊集院静氏は酒についてこのように語っていますが、続編の続・大人の流儀でも、より共感を覚えるような、酒についての語りがされています。

 

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 私は若い時代に近しい者との死別に遭遇した。弟と妻、友も何人かいた。皆純粋な人間であり、人生の愉しみにこれから出逢おうという年齢だった。

 先述したように、私はのっけから悪党だったから、彼等、彼女らの死を、なぜこの人たちでなくてはならなかったのかと、人の運命が納得できなかった。眠れない夜もあった。

 そんな時、酒は、振り上げたい拳を、棘だらけの感情を受け入れ、ゆっくり気持ちをやわらげてくれた。

-あの時、酒がなかったら・・・。

と今でも思う。

 人類が地上にあらわれ、社会という、人生という、不条理をともなうものを生きはじめ、酒というものを祖先が発見したのを、私は必然だと考える。一杯の酒で、ほろ酔ったやわらかなひとときで、どれだけの人が救われたのかと思う。

 

 

 自分もウイスキーをはじめ、良いお酒を知ることは人生の深みになると感じつつありますが、これほど重厚感のある、尊敬する作家がこのように語っているのは非常に印象深いと思いました。

 

 また、仕事に関する理不尽さを語っている文章がありましたが、こちらも非常に考えさせられました。

世の中の肌ざわりを覚えるには、理不尽と出逢うのがいい。

職場の中に、得意先に、理不尽を絵に描いたような人がいることは、不幸に見えて実は幸いなことだ。

「無理なことを言ってきやがったな」

「無体なことをさせやがるな」

その時はそう感じても、ひとつひとつを乗り越えていけば、笑い話にさえなる。

 

 『大人の流儀』シリーズはこれからも継続して読んでいきたいと思いますので、また印象に残った部分を書き記していこうと思います。

読書感想:『大人の流儀1』

一流大学の受験に受かるなんてのは、テレビのクイズ番組で人が読めない漢字を読んで、照れたような作り恥じらい(ホントいやらしいが)をしているタレントの自己満足と同じ程度のことでしかない。

 

-知識というものほど怪しいものはない。私に言わせるとこれほど荒唐無稽なものはない。だから蘊蓄を披露する”という行為は、自分は馬鹿です、と懸命に語っていることに他ならない。

 

 これほどにまでハッキリと核心を突き、自分の未熟さを痛感するのは逆に心地が良い。

 そして、その痛烈な批評を行うだけでなく、自分のコアがあり、立ち居振る舞いに『真の大人の格好良さ』を滲ませる、非常に存在感のある重厚な作家は、なかなかいないのでは無いでしょうか。

 

 伊集院静氏は、中学生の頃から大ファンであり、非常に尊敬している作家のひとりです。以前にも『大人の流儀シリーズ』の本を紹介していましたが、このたび国民的ベストセラーになった第一弾を読んでみました。

 

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 知っている方も多いとは思いますが、伊集院氏の人生は、他者が語ることが憚られるくらいの、壮絶な体験をなさっています。

 当時奥様であった夏目雅子さんを亡くしただけでなく、実の弟も海難事故で失ったことも、本を読む中で知りました。

 初めて読んだ伊集院氏の小説に、主人公の弟が海難事故で亡くなるストーリーがあったのですが、これは実体験もベースになっていたのかと衝撃を受けました。

 

 だからこそ、伊集院氏の語る、人生論や、大人としての振る舞いに、非常に説得力があるのだと思います。

 

 自分がこんな重厚で迫力のある大人になるにはまだまだ時間がかかりそうですが、こうした人生の大師匠の、含蓄のある言葉の意味を、ゆっくりと咀嚼して、昇華していきたいと思います。

 

『大人の流儀』シリーズは、今後も続けて読んでいきたいと思います。

読書感想:『ビギナーズ・クラシックス日本の古典 三十六歌仙』

 お疲れ様です、スナフキンです。

 

 日本の古典文学に触れる機会を増やしていますが、今回紹介するのは、古典に造詣のある方ならご存知の三十六歌仙であります。

 

 三十六歌仙と言うものは、元々単独の作品としては存在していなかったといいます。母体は、藤原公任撰の『三十六歌撰』であり、百人一首よりも200年前、源氏物語と同時代に編纂された秀歌撰のことを指します。

 

 近世まではかなり広く流布されていたようですが、明治以降になると、急速に時代が変化。

 百人一首はかるた遊びと融合することで命脈を保った一方、三十六歌仙は学びの場が寺子屋から小学校に変遷したことで、学習する場が消失し、知名度を大きく下げました。

 

 自分自身、『三十六歌仙』の名前自体は知っていたものの、内容に関しては全く知りませんでした。

 ただ、百人一首の魅力を追求していくと、必ず『三十六歌仙』にたどり着きますし、『三十六歌仙』に選ばれた和歌が、『百人一首』にも撰ばれていたりします。

 

 今回はその中で、気になった作品を少しご紹介したいと思います。

 

紀貫之

・さくらちる 木の下風は さむからで そらにしられぬ 雪ぞ降りける

(桜が散る木の下をふく風は寒くはないが、天のあずかり知らぬ雪(桜のはなびら)が降っていることよ)

 

 梅の場合、枝に積もった雪は、花(白梅)に見立てられ、春の訪れを望むものである一方、桜では落花(散る花)を降雪にみたてている。雪を花に見立てるか、花を雪に見立てるかの違いだが、この先人たちの想像力に非常に脱帽。

 

在原業平

・代の中に たえてさくらの なかりせば はるのこころは のどけからまし

(いっそのこと世の中に桜がまったくなかったとしたら、春の心はどんなにのんびりしたものだろうか。(でも現実にはのどかにはいられない))

 

 春と言ったら桜が当然のものとして想定されるとは思うのだが、さすが業平である。それが無いという想像力と、逆に桜がない場合、春は心穏やかなのだという想像の先を超えた発想が素敵だと思いました。

 

 今後も百人一首を含めた、和歌の魅力に触れていきたいと思います。

読書感想:『眠れないほどおもしろい吾妻鏡』

 現在NHK大河ドラマで、『鎌倉殿の13人』が放映されていますが、今回はそのドラマの知識を深め、より面白く鑑賞するのにも役立つ本を紹介したいと思います。

 

 今回紹介するのは、

『眠れないほど面白い吾妻鏡

という板野博行氏の本。

 

 以前にも板野氏の著作として、『眠れないほど面白い百人一首をご紹介しましたが、この『眠れないほどおもしろい』シリーズは非常に分かり易く面白いです。

 登場人物の説明だけでなく、時代背景などについても丁寧に解説されているので、読者は日本史の学習もすることが出来ます。

 

 

 

 そもそも、吾妻鏡は、鎌倉幕府末期に、幕府の複数の有力者が編纂したとされる、日本における武家政権の最初の記録

 鎌倉幕府を建てたのは、『冷酷非情の政治家』として、日本で初めて武家政権を打ち立てた源頼朝。輝かしい源氏将軍として活躍したが、わずか3代で断絶。

 その後は北条氏による執権政治が行われたが、実権を得るに至るまでは、闇にうごめく謀略が数々あり、御家人同士での激しい権力闘争がありました。

 そうした事実を淡々と記しているのが、鎌倉時代の公式記録である『吾妻鏡』なのです。

 そんな吾妻鏡ですが、今回は様々な登場人物の中でも、個人的に印象深かった人物についてご説明したいと思います。

 

 

後鳥羽院

 源平の合戦の最中、異例中の異例で即位した天皇が実はいます。それが今回紹介する、後鳥羽院です。

 後鳥羽院天皇に即位したのは、わずか4歳の時。

 その当時、源氏の前に敗れ去った平家は、当時在位していた安徳天皇三種の神器を奉じて都落ちしていました。

 源氏を利用していた後白河院は、天皇と神器を取り戻すための工作を試みたものの、上手くいきませんでした。

 

 そこで、安徳天皇に代わる新しい天皇として、後鳥羽院を即位させることにし、前代未聞の「三種の神器無し」で即位を行ったのです。

 その結果、二人の天皇の在位期間が二年間重複するという異常事態を後鳥羽院は経験することになります。

 

 こうして、天皇の権威の象徴を失ったままであった出来事において、後鳥羽院はずっとコンプレックスを引きずり続けていたのではないか、と筆者は分析しています。

 自分もまさにこのことに関しては非常に共感するところでした。

 

 ただ、神器無しの即位に対してコンプレックスを抱き続けた後鳥羽院は、それを克服するために刻苦勉励、自らを高める努力を怠りませんでした。

 後白河院が亡くなってからは、3代23年間にわたって強力な院政を敷いたほか、皇室所有の荘園を集めて経済力を強化し、文化面では管弦や蹴鞠など、貴族に必須の諸芸の習得に力を注ぎます。

 また、新古今和歌集』の編纂を藤原定家らに命じたのは大きな功績です。

 

 

『奥山の おどろが下も ふみ分けて 道ある世ぞと 人に知らせむ』

(訳:人も通わない奥山の藪の中に分けて入って、どんなところにも道がある世だと、人に知らせよう。)

 

 ストレートな表現の中に、後鳥羽院の強い遺志と、力強さを感じる非常に素敵な歌だと思います。

 

 後鳥羽院はその後、承久の乱を起こして北条義時追討を図るが、結果は幕府側の勝利。乱後、上皇だった後鳥羽院は出家して法王となり、隠岐に配流。最終的に帰京はかなわず、その土地で崩御したが、個人的には思い入れを感じる方です。

 

 後鳥羽院が晩年過ごした隠岐、いつか行ってみたいものです。

『中島みゆき 劇場版ライヴ・ヒストリー』を鑑賞してきました。

 今月初旬のことですが、個人的に久しぶりとなる、映画館での映画鑑賞を行ってきました。

 

 今回鑑賞したのは、大好きな中島みゆきのライヴ・ヒストリーをまとめた、

中島みゆき 劇場版ライヴ・ヒストリー 2007-2016

という作品。

miyukimovie.jp

 

 

 長く生きている人生の大先輩からしたら、まだまだ若輩の自分ですが、そんな自分の人生においても、激しいくらいの困難や、息も詰まるようなタフな場面に直面した経験は何度もありました。

 

 音楽によって勇気づけられる、と言う経験は多くの人が持つことだと思いますが、中島みゆき氏独特の、そして強烈なインパクトを持つ歌詞に何度勇気づけられたことか。

 

―お前が消えて喜ぶ者にお前のオールをまかせるな

 

 初めて聴いた時には衝撃を覚えた記憶があります。

 

 劇場版を観た後、余韻がずっと残っていた自分はアルバムも購入。

 また、もう期間は過ぎてしまったのですが、新宿タワーレコードで行われていた衣装展示にも伺いました。

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 コロナ禍の影響で中止となってしまったツアーですが、また元気な形でコンサートを開催できるのを楽しみにしています。

 

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