-一流大学の受験に受かるなんてのは、テレビのクイズ番組で人が読めない漢字を読んで、照れたような作り恥じらい(ホントいやらしいが)をしているタレントの自己満足と同じ程度のことでしかない。
-知識というものほど怪しいものはない。私に言わせるとこれほど荒唐無稽なものはない。だから“蘊蓄を披露する”という行為は、自分は馬鹿です、と懸命に語っていることに他ならない。
これほどにまでハッキリと核心を突き、自分の未熟さを痛感するのは逆に心地が良い。
そして、その痛烈な批評を行うだけでなく、自分のコアがあり、立ち居振る舞いに『真の大人の格好良さ』を滲ませる、非常に存在感のある重厚な作家は、なかなかいないのでは無いでしょうか。
伊集院静氏は、中学生の頃から大ファンであり、非常に尊敬している作家のひとりです。以前にも『大人の流儀シリーズ』の本を紹介していましたが、このたび国民的ベストセラーになった第一弾を読んでみました。
知っている方も多いとは思いますが、伊集院氏の人生は、他者が語ることが憚られるくらいの、壮絶な体験をなさっています。
当時奥様であった夏目雅子さんを亡くしただけでなく、実の弟も海難事故で失ったことも、本を読む中で知りました。
初めて読んだ伊集院氏の小説に、主人公の弟が海難事故で亡くなるストーリーがあったのですが、これは実体験もベースになっていたのかと衝撃を受けました。
だからこそ、伊集院氏の語る、人生論や、大人としての振る舞いに、非常に説得力があるのだと思います。
自分がこんな重厚で迫力のある大人になるにはまだまだ時間がかかりそうですが、こうした人生の大師匠の、含蓄のある言葉の意味を、ゆっくりと咀嚼して、昇華していきたいと思います。
『大人の流儀』シリーズは、今後も続けて読んでいきたいと思います。