とりま文系歯科医師が自己投資。

読書好きな開成、一橋大卒文系出身歯科医師のマイペースブログ。読書を中心に学んだ知識をアウトプットすることで、何か社会が少しでも変わればなと思い開設。好きなテーマは小説全般、世界史、経済学、心理学、経済投資など。筋トレも趣味です。

読書感想:『続 まんが パレスチナ問題』

現在深刻な状態になっている、パレスチナ問題。 戦闘員でない無防備の一般市民が殺され、何としても早急に即時停戦が望まれています。 今回紹介する 『続 まんが パレスチナ問題』 は、今から10年弱近く前の新書ではあるのですが、現在のパレスチナ問題を理…

読書感想:『無関係な死/時の崖』

20世紀の混沌を縦横無尽に漕ぎ渡り、人間と社会をめぐって、深い洞察の言葉を紡ぎつづけた安部公房。 その作品世界は、悪夢のようでありながら笑いに満ち、悲惨でありながら生のエネルギーに溢れています。(芸術新潮2024年3月号参照) 2024年の今年は、安部公…

読書感想:『アボカドの種』

『言の葉をついと咥えて飛んでゆく小さき青き鳥を忘れず』 当時の時事ニュースでも取り上げられた、俵万智氏の短歌。 イーロンマスクがTwitterをXに名称変更した際、その時に詠んだ短歌。 初めて目にしたとき、思わず声を出して唸ってしまいました。本当に天…

アーティゾン美術館に行ってきました。2024年2月。

本日休みだったので、知人から勧められた、アーティゾン美術館の、 『マリー・ローランサンー時代をうつす眼』 を鑑賞してきました。 www.artizon.museu 彼女は20世紀に活躍した画家であり、キュビスムの画家として紹介されることも多くありますが、「前衛的…

読書感想:『非色』

こんなにも衝撃的で、感動した作品だとは思いませんでした。 間違いなく、自分の中での印象に残った傑作です。 今回ご紹介するのは、前回に引き続き、有吉佐和子氏の 『非色』 という小説。 非色 (河出文庫) 作者:有吉佐和子 河出書房新社 Amazon 物語は、終…

読書感想:『青い壺』

また名作に出逢いました。 2024年に、没後40年を迎える作家、有吉佐和子氏。 その有吉氏の幻の長編小説が、奇跡の復刊を遂げたということで書店でフェアをやっており、気になって手にしたのが、今回紹介する、 『青い壺』 という小説でした。 新装版 青い壺 …

読書感想:『悲しみのなかの真実 石牟礼道子 苦海浄土』

近現代の文学は、作者がいて作品がある、というのが一般的である。 しかし、今回紹介する作品は、それとは異なる意味がある。 石牟礼道子氏が著した作品、 『苦海浄土』 は、水俣病の患者たちが本当の語り手だと、石牟礼氏は述べる。 水俣病の患者たちは、言…

読書感想:『夜明けのすべて』

―社会に出て、関わる人も広がって、本当に言いたいことを言って、何の曇りもなく自由に思いどおりに生きている人などそういないことを知った。 ありのまま生きているように思える人も、そんな強い自分であるために、どこかで無理をしている。 他人がどう思う…

読書感想:『経済学を知らずに医療ができるか!?』

スナフキンです。今年もどうぞよろしくお願いします。 今年初回の読書感想は、東京大学大学院医学研究科教授、康永秀生氏著の 『経済学を知らずに医療ができるか!?』 という、医療経済学の本。 経済学を知らずに医療ができるか!? 医療従事者のための医療経…

2023年もお世話になりました。2024年もどうぞよろしくお願いします。

あと数時間で、2023年も終わってしまいますが、本年もありがとうございました。 個人的なことになりますが、今年は年初から緊急の入院と手術があり、なかなかハードでインパクトのある一年でした。 読書感想を中心にしたこのブログでしたが、読書のペースは…

読書感想:『97歳の悩み相談』

97歳の悩み相談 (講談社文庫) 作者:瀬戸内寂聴 講談社 Amazon 本書は、京都・嵯峨野の寂庵にて、2019年1月27日に行われた『10代のための特別法話』などもとに、再構成したもの。 『Q:人に悪く思われないか、いつも気にしてばかりいます』 という質問には、…

大分旅行に行ってきました。

先月になりますが、10月19日から22日にかけて、大分旅行に行ってきました。 大分の知人に案内されながら、様々な場所を観光し、美味しいグルメを堪能。 国宝富貴寺 豊後牛のステーキや、佐伯のお寿司は本当においしかったです。 別府の地獄蒸しプリンも二回…

読書感想:『別冊100分de名著 フェミニズム』

『鴻巣:他者と関係を結ぶことについて、ノーベル文学賞作家のカズオ・イシグロは「横の旅」と「縦の旅」という言葉で説明しています。 グローバルな時代において、リベラルなインテリたちは「横の旅」をする。 つまり、世界に飛び出していってさまざまな知…

国立新美術館のテート美術館展に行ってきました。

お疲れ様です、スナフキンです。 本日は有休をいただきまして、少しゆっくり気分転換しようと思い、都心で遊んできました。 都内の美術館は、月曜日が休館日のことが結構多いのですが、六本木にある国立新美術館は本日開館していたので、そちらのほうに伺っ…

読書感想:『グローバライズ』

今回ご紹介するのは、木下古栗氏著の 『グローバライズ』 という本。 グローバライズ GLOBARISE (河出文庫) 作者:木下古栗 河出書房新社 Amazon 友人が読んでいて、興味を持って自分も読んでみたいと思った作家さんです。 読了後、非常に斬新かつ複…

読書感想:『100分de名著 ボーヴォワール 老い』

NHKテキストの『100分de名著』シリーズは、読みたいものが非常に多いです。 今回紹介する、ボーヴォワールの 『老い』 は、邦訳で二段組の上下巻、総ページは700ページ超という大著なのですが、上野千鶴子氏がとても分かりやすく解説してくださっています。 …

読書感想:『ハンチバック』

―私は紙の本を憎んでいた。目が見えること、本が持てること、ページがめくれること、読書姿勢が保てること、書店へ自由に買いに行けること、-5つの健常性を満たすことを要求する読書文化のマチズモを憎んでいた。その特権性に気づかない「本好き」たちの無…

読書感想:『未来のサイズ』

―短歌は、日々の心の揺れから生まれる。どんなに小さくても「あっ」と心が揺れたとき、立ち止まって味わいなおす。その時間は、とても豊かだ。歌を詠むとは、日常を丁寧に生きることなのだと感じる。(P.179) イーロン・マスク氏が、親しみのあったTwitterの…

読書感想:『傲慢と善良』

ライフスタイルの多様性は都会だからこそ許されるのであろうか。 自分の価値観を重視し、自由に人生を生きるのは『傲慢』なのだろうか。 帯拍子で、 〈『人生で一番刺さった小説』との声、続出〉 とのタイトルに惹かれ、書店で購入した辻村深月氏の小説。 傲…

読書感想:『動物農場』

最近色々とドタバタしていて、読書はしてはいるのですが、読書感想を書くペースがおざなり勝ちになっているスナフキンです。 今回は、ディストピア小説で有名な、ジョージ・オーウェルの作品で、代表作『一九八四年』と並ぶ、もう一つの代表作をご紹介したい…

アーティゾン美術館に行ってきました。

昨日お休みをいただき、日本橋のアーティゾン美術館で現在開催されている、 「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開」展 を鑑賞してきました。 www.artizon.museum 19世紀末のフランスを中心としたヨーロッパ、芸術を生み出す活気と自由な雰囲気に満ち溢れる中…

映画『怪物』鑑賞してきました。

先日の休みに、映画『怪物』を鑑賞してきました。 gaga.ne.jp 実はノベライズを先に読んでいたので、ストーリーは理解していたのですが、やはりこれは劇場へ行かなきゃと思い、映画鑑賞。 怪物 (宝島社文庫) 作者:佐野 晶 宝島社 Amazon さすが是枝裕和監督…

読書感想:『レモンと殺人鬼』

Twitterの読書アカウント界隈で、『面白かった!』という反響が多かったので、自分も読んでみようと思って購入。 2023年第21回の『このミステリーがすごい!』大賞の文庫グランプリを受賞したらしく、ワクワクしながら読ませていただきました。 今回紹介する…

読書感想:『ロスト・ケア』(一部ネタバレあり)

GW中、都内では最終上映となった、長澤まさみ×松山ケンイチ両氏主演の映画 『ロストケア』 を鑑賞しました。(映画タイトルは『ロストケア』) lost-care.com ロスト・ケア (光文社文庫) 作者:葉真中 顕 光文社 Amazon 延べ43人もの人間を殺害し、戦後になって…

読書感想:『ユートピア』

本日も、湊かなえ氏の小説をご紹介。 以前から購入してずっと積読だったのですが、やっと読み終えることが出来ました。 ユートピア (集英社文庫) 作者:湊かなえ 集英社 Amazon 物語の舞台は、緑豊かな海辺に面した、人口7千人の鼻崎町と言う町。 過去には一…

読書感想:『絶望読書』

人間は、人生で絶望する。 絶望した時に、何が必要だろうか? 立ち直りの方法だろうか?励ましの言葉だろうか? 『それよりも前に、必要なものがある』 と、本日紹介する本の著者、頭木弘樹氏は言う。 頭木氏は、大学3年の20歳の時に難病になり、13年間の闘…

読書感想:『統一教会 何が問題なのか』

現代の日本政治を考える上で、この問題はもう目を背けるわけにはいかないだろう。 昨年から買っていたのですが、今回やっと 『統一教会 何が問題なのか』 を読み終えました。 統一教会 何が問題なのか (文春新書) 文藝春秋 Amazon 宗教はそれを信じる者のア…

読書感想:『対岸の彼女』

『―結局さ、のっぺりしすぎてるんだよ、とナナコは言っていた。 何もかもがのっぺりしてる。毎日、光景、生活、成績、全部のっぺりしてるから、いらいらして、カーストみたいな理不尽な順位をつけて優位に立ったつもりにならなきゃ、みんなやっていられない…

読書感想:『カインは言わなかった』

血の滲むような、言葉では表現しつくせない努力や根性を持って見せても、 『絶対に超えられない、人智を超えたもの』 というものを、誰しも感じたことがあるに違いない。無論自分もそうしたものがあると痛感して生きている。 今回紹介する小説においても、何…

読書感想:『生きづらさについて考える』

生きづらさについて考える (毎日文庫) 作者:内田 樹 毎日新聞出版 Amazon どうして今の若い人たちは、こんな政治の現状に抵抗しないのだろうか。 現状政治の全てを否定するわけではないが、ここまで自分達に不利になるような状況の中で、なぜもっと若い世代…

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