とりま文系歯科医師が自己投資。

読書好きな開成、一橋大卒文系出身歯科医師のマイペースブログ。読書を中心に学んだ知識をアウトプットすることで、何か社会が少しでも変わればなと思い開設。好きなテーマは小説全般、世界史、経済学、心理学、経済投資など。筋トレも趣味です。

読書感想:『人間そっくり』

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 2024年の今年は安部公房生誕100年

 今回も、まさに安部文学と言えるような作品を鑑賞。

 

 今回の小説は、

『人間そっくり』

というSF小説

 

 

〈こんにちは火星人〉というラジオ番組の脚本家のところに、火星人と自称する男がやってくる。

 その男とやり取りをしていく間に、脚本家自身も、自分が人間そっくりの火星人なのか、火星人そっくりの人間なのか、わからなくなってくる。

 

 わからなくなってくる脚本家自身と同じように、小説を読んでいる読者の自分においても、ぐるぐる頭が回ってわけがわからなくなってしまうような作品。

 

 個人的には、まさに安部文学、と言えるような作品で、非常に好きな作品です。

 

 

 ただ、これって、SF作品と言ってしまえばそうなのだけれども、頭がぐるぐるしていく、この自分自身そのものの世界観も、果たして実話の世界なのか、寓話の世界なのか、分らない感じがする。

 

―いったい、この現実は、寓話が実話に負けたせいなのか。それとも、実話が寓話に負けたせいなのか。法廷の外にいるあなたに、お尋ねしたいのです。いまあなたが立っている、その場所は、果たして実話の世界なのでしょうか、それとも、寓話の世界なのでしょうか……。

 

 小説の後半でもこのように書かれているが、今の現実に対しても、懐疑的な視点を向けるような、奇妙な作品です。

 現実に対する、特異な視点が非常に面白いです。

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