先日伊坂幸太郎氏の『マリアビートル』を読んだ感想を載せたが、改めて伊坂氏の本の何が好きなのか考えてみた。
前回の『マリアビートル』の読書感想でも、伊坂幸太郎氏の作品を読んだキッカケをこのように書き記した。
10年前、自分が一橋大学の学生だったとき、とある女性に、 『●●さん(本名)って、伊坂幸太郎の『砂漠』に出てくるニシジマさんに似ていますよね。』 と言われたことがきっかけで、伊坂氏の本を読むようになり始めた。
読書感想:『マリアビートル』 - とりま文系歯科医師が自己投資。
ただ、実際に自分を魅力にさせる要素は何なのだろう。
伊坂氏の本の解説の部分で、引用された箇所で、物凄く合点がいった箇所があった。出典は『アイネクライネナハトムジーク』の解説で、ライターの吉田大助氏が伊坂氏のコメントを引用している部分がある。
-みんなが興味をもつ恋愛は、料理でいえば、肉みたいな存在だと思っていました。肉が入っていれば、その料理はうまいに決まってるよ、と。だったら、肉が入っていない美味しい料理を作る方が格好いいと考えちゃって(笑)。(伊坂幸太郎)
ちなみにこの引用自体の出典は、エッセイ集である『3652』の『わが心の恋愛映画 フィッシャー・キング』の欄外コメント。(P.109)
この部分に自分は深い共感を覚えたのを覚えている。
最近は映画もあまり観なくなったが、伊坂氏の本を読み始めた20代前半のころから、本にしても映画にしても、所謂巷の『恋愛作品』ってものが苦手だったのを覚えている。
まあ、今でも恋愛作品にはそこまで触れ合わない。別に恋愛作品が嫌いってわけではないのだけれども、結局手に取るのはそうしたものがテーマでないことが多い。
直近で読んだ恋愛小説で思い出したのは、渡辺淳一氏の『シャトウルージュ』、あ、あれは恋愛小説ってジャンルではないか。笑
いずれにせよ、吉田大助氏の言葉を借りて言えば、自分は伊坂作品の『恋愛キャンセリングシステム』のようなものが心地よく感じる、『友愛小説』といったものが好きなのだろう。
『砂漠』に出てくるニシジマさんも、言ってしまえば友愛の代表選手みたいなもんだし。
勿論伊坂作品の魅力はこれに留まることは無いと思うが、自分が魅力に感じる部分はこうしたところなのかなあ。
家の本棚にあったエッセイ集『3652』を引っ張り出しまた読みだしたら、面白くて時間を忘れてしまった。時間があればこちらの感想も書いてみようと思う。