人間は、人生で絶望する。
絶望した時に、何が必要だろうか?
立ち直りの方法だろうか?励ましの言葉だろうか?
『それよりも前に、必要なものがある』
と、本日紹介する本の著者、頭木弘樹氏は言う。
頭木氏は、大学3年の20歳の時に難病になり、13年間の闘病生活を送った人物。
絶望は『瞬間』ではなく『期間』であり、絶望したままのある程度の時間がある。
そんな絶望の期間に、どのように過ごせばいいのだろう。
『絶望において、一番大切なのは、絶望の時期の過ごし方だ』と筆者は言う。
本書は、そんな絶望の期間の過ごし方や、絶望した時に、寄り添ってくれる本や映画やドラマなどを紹介している。
人間は誰しもが、絶望をいとも簡単に乗り越えられるようなスーパーマンではない。
むしろ、絶望にもがく人の方が多いだろう。
絶望した時には、まずはその絶望にどっぷりとつかり、あまりすぐに立ち直らないことも大切。
それが結局は、ちゃんと立ち直ることに繋がるとも、筆者は言う。
ただ、やはり読書の力は改めて重要なのだとも感じました。
UCLAの研究によると、ストレスが高い状況にさらされたとき、『それを表現する言葉がある』と、ストレスホルモンの放出が抑制され、ストレスが鎮まる。
絶望し、孤独に陥ったとき、そういう気持ちを言葉で表してくれる本を読むことはそれだけで、絶望や孤独をいくらか癒してくれる。
本書の中で筆者は、本のことを、生きるための必需品だと言っている。
教養を身につけるためとか、娯楽のためとか、現実逃避のためとか、それだけのものでなく、生存をおびやかされ、どうしていいかわからない、精神的に追い詰められたときこそ、本を読みたくなる。
本は決してぜいたく品や娯楽品ではなく、生活必需品、とてもいいセリフだなと思いました。