『―いきなり、話は飛ぶのですが、僕は、もし、「教育にとって一番大切なことは何か?」と聞かれたら、「バランスよくマイノリティー感覚を経験すること」だと思っています。
(中略)
バランスよくマイノリティー感覚を経験すること。
バランスよくというのは、マイノリティー感覚を感じる時期と、反対のマジョリティー感覚を感じる時期の両方を、ちゃんと持つということです。』
こんにちは、スナフキンです。
今回はメディア出演でも有名な演出家、映画監督の鴻上尚史氏のエッセイ、
『人生ってなんだ』
をご紹介。
鴻上氏の文章は、非常に軽快なうえ、印象深い内容が多い。
本書は、27年間にわたって連載を続けた週刊『SPA!』のエッセーの中から、タイトルにふさわしいものを抽出して上梓されたもの。
時代が古いエッセーであっても、未だに新鮮さを持ってタメになるところも良い。
あとがきに鴻上氏が書いている文章も、非常に印象的で、現代人として参考にしたいものでした。
『-今日、ツイッターを見ていたら、「『自分と異なる価値観や文化を受け入れる力を教養という』的なことを鴻上氏が言っていたんだけど」という文章がありました。
そんなことを言った記憶はまったくないんですが、いえ、ただ忘れているだけかもしれませんが、良い言葉だと思います。
(中略)
この言葉をもっとちゃんと言うと「自分と異なる価値観や文化とうまくつきあえる力を教養という」ということでしょう。
(中略)
自分とことなる価値観や文化とうまく「つきあえる」ようになれたら素敵だと思います。』
心に余裕が無くなっているせいなのか、他者の多様性に対して異常で残忍なまでの言葉の暴力や攻撃性を向けるようなシーンもあり得る中で、知性や教養によって、そうした残酷性に対峙し続けていくこと、非常に大事なことだと改めて思いました。