本日紹介する本も、大好きな伊集院静さんの本。
週刊文春で好評連載されている、読者のお悩みに、伊集院さんがズバッと答える、『悩むが花』の回答集。
老若男女問わず多くの読者が、様々な質問を投げかけるが、伊集院さんはシンプルで軽快ながらも、ズバッと核心をついた回答をしてくれるところが非常に清々しい。
自分の中で印象に残った質問と回答を、いくつか紹介したいと思います。
Q:世間は「ミニマリスト」と言うのが流行っているが、ミニマリストについてどう思うか。(45歳・男・配送業)
A:そのミニなんとかで、身の回りのモノをどんどん捨てれば、物欲が涸れ、迷いが消える?その程度のことで消える迷いは、迷いとは言わんでしょう。
いつもわしが言っとるでしょう。
すぐにカタがつくようなもんはすぐにまたおかしくなると。
すぐに役に立つもんはすぐに役に立たなくなると。
“すぐ役に立つ本はすぐに役に立たなくなる”とは、小泉信三が『読書論』で述べていたものだ。
(中略)
すぐに役に立つ人間はすぐに役に立たなくなります。
Q:生きざまってなに?(40歳・男・会社員)
A:“生きざま”とか“本音”とか、そんなのは余計なもんでしかないだろうよ。
小説も、ギャンブルも、酒も、女のひとも、わしには突進していくもんで、斜に構えてみる余裕なんてあるわけないだろう。
手前の人生に何があったなんてのは、死ぬ間際にちらっと振り返って見て、何もなかったナと思って死ぬの。
Q:おじさんにモテる秘訣を教えてほしい。(29歳・女・会社員)
A:男は年齢に関係なく、本来、ウジウジしている生きものです。
それを見栄で隠しているだけです。
あなたは教養ある年上のオジサンと付き合いたいとおっしゃいますが、若い女性に向かって教養をちらつかせるオッサンは、十中八九、下心と、詐欺師の発想がある。
さらに言えば、教養なんてもんは、屁みたいなもんです。煮ても、焼いても食えたもんじゃありません。