この本が出版されたのは、ちょうど10年前の2010年、羽生氏は40歳の誕生日が近づきつつある歳だった。
羽生氏によれば、実際に40代になってみると、10代の頃描いていたイメージとは、まったく違っていた感じがしたらしい。
実際に年齢に応じてきちんと適応できるかどうかはやってみないと分からないが、少なくとも、年齢に応じた経験をどう活用していくことが大事だということが今後問われている。
それに対する答えと言うより、考えるためのきっかけを、この本の中で書いたと、羽生氏は冒頭で述べています。
先行きの見えない、変化のスピードが速い現代において、『野生の勘』を鍛えるためのヒントがちりばめられている本です。
10年前の本だが、30代の自分でも大変タメになる本だと思います。断片的ですが、印象に残ったところをピックアップ。
☆忙しいときほどたくさんの仕事が出来る不思議
・勤勉に働くのはとても素晴らしいが、並行して充実度も上げないといけない。細かいことに気がついて楽しみを見出すことが、上手に忙しさを消化する方法。
・頭で覚えるのではなく、繰り返し繰り返し、練習を続ける中で体の中に染み込ませるように覚えさせる。
☆『誰からも必要とされてない』と感じたら
・行き詰ったとき、煮詰まったときと言うのは、視点が固定しがち。
・深刻な悩みを抱えていたとしても、他の人が聞いたら全然、気にする必要はないとか、考えすぎと受け取れるくらいのレベル。
☆無理にプラス思考を続けない
・人それぞれ慣れ親しんだ環境があるので、急に変えるのは容易ではない。
・ロシア文学を代表する文豪・トルストイやチェーホフの作品などはどれも重く、苦しく、深いテーマを扱っているものばかりだが、全体として眺めたときには、必ず希望がちりばめられている。
羽生さんの本は何冊かあるので、今後も読んでみたいと思います。