自分の好きなお笑い芸人は何人かいるが、その中でも今一番アツいなのは、ハライチの岩井勇気氏だと思う。
(最近放映されたテレビ番組での、『塩の魔人、醤油の魔人』は衝撃だった、、、)
ハライチのラジオにおけるトークでも炸裂しているが、独特な雰囲気で世相をシニカルに表現し、歯に衣着せぬ感じで容赦なく毒舌を吐くキャラが個人的に大好き。
とまあ、本人にこうした気持ちを話したら、おそらく、
『皆があまり注目しない人を応援していることで、自分は他人と感性が違うんだと思い込み、自分の中の唯一性を確保してるんだろ?』
とバッサリ言われそうな気はするが、まあそう言われたとしてもファンであることには間違いない。
テレビで活躍する芸能に生きた人の世界でも、誰かに話して面白いと思えるような事件はそうそう起きないと岩井氏は言う。
ましてや我々のような一般人でもそうだ。
言ってしまえば、誰の人生にも『事件』は起きない。
でも、決して楽しめないわけではなく、どんな日常でも楽しめる角度が確実にあるんじゃないだろうか。
本書に掲載されているエッセイは、そんな事件の無い日常を、岩井氏の視点で書き下ろしたものである。
内容はラジオのトークで話されているものも多く、聞いたことがある内容も多いな、と言う感じだったが、文字に起こされているとまた感触が違う。
リラックスした気分で、一気に読んでしまった。
ハライチ岩井氏のキャラが好きなら、是非読んでみてほしい一冊である。
個人的に面白いと思ったのは、
『仕方なく会った昔の同級生にイラつかされる』
で登場する、自分の有名さを比較しようとする同級生のエピソードだ。
その同級生は(当時だろうが)仮想通貨系の仕事でかなり儲けていて、そっち界隈では有名なんだと岩井氏に語りかける。
そんな同級生に対し、岩井氏は、
『自分と相手のどっちが有名かを競ったり、自分がどれだけ有名かを相手に説明することは、不良や暴走族までで終わっていると思っていた。』
と冷ややかな態度を見せる。
この同級生のように、『収入』や『地位』だけで相手に自分の価値観を認めさせようとする、承認欲求の高い相手は自分もうんざりすると思う。
自分もそうした人間にならないようにしたいし、そうした人間とは距離を置けるくらいの自分の実力をつけたいものだと思った。