先日大阪旅行で山崎蒸溜所の見学に行ったブログを書いたが、そこでウイスキーに関連する本を購入したので、今回はウイスキーに関する本の感想です。
ちなみに以前書いた山崎蒸溜所のブログは以下のブログ。
著者は、日本における最古で最大のウイスキー製造業者『サントリー』のチーフブレンダーをしている輿水精一氏。
全ての製造所で作られるウイスキーの味を毎日吟味し、品質を守るための重要な仕事であり、ブレンダ―の仕事には大きく、『創造・維持・管理』の3種類あると述べられている。
自分も山崎蒸溜所に来るまで、ブレンダ―という仕事があるのを正直存じ上げなかったが、本書にも書いてあるように、微細なウイスキーの香りや味をかぎ分け、それを組み合わせて納得のいくウイスキーを完成させていくブレンダ―の仕事は、どこか謎めいている。
しかし、お酒作りというものは、しばしば科学や人間の想像を超えた結果を生むことが多く、そうした瞬間に立ち会えるブレンダ―という仕事は、とても魅力的に感じられた。
自分が初めてウイスキーの美味しさに気付いたのは、1年ほど前、とある会食で『知多ハイボール』を飲んだ時のことであったが、あの時の複雑だがスッキリとし、かつ炭酸と合ったのど越しの良い美味しさに、非常に魅了されたのを覚えている。
一般的にウイスキーは、複雑系の酒の代表格だと思うし、多くの人にとって、人生の最初にウイスキーを飲んだ時は、強い刺激だけを感じ、
『ウイスキーって何て飲みづらい酒なんだろう』
と思うことが多いのかもしれない。
けれども、一旦そのほろ苦い体験を通過すると、ウイスキーの持つ魅力にドンドンと引き込まれていく。
30歳を超えた、と言うのもあるのかもしれない。自分の人生経験も含め、経験を重ねれば重ねるほど、美味しく感じられるのが、ウイスキーという酒の特徴なのではないだろうか。
こうした時期に美味しく感じられるウイスキーに出会えるのも、人生の幸せの一つだと思う。
ジャパニーズウイスキーは、本場のスコッチウイスキーを本家として、日本の先人達が知恵を出しながら生みだしたブランドである。
ジャパニーズウイスキー固有の樽である、『ミズナラ樽』も、本来は第二次世界大戦時に本場の『オーク材』が十分に調達できない中、やむなく始まった国産材の樽であった。
そうした様々な事情と日本の風土、日本人の伝統的なモノづくりへの姿勢が、日本人の味覚に合うウイスキーの成長を促し、そして今ではそれが国際的にも評価されると言ったとことにも、ウイスキーの輝かしい魅力を感じてしまう。
輿水氏は、こうしたジャパニーズウイスキーの進歩的を鑑みて、日本が『イノベーション能力』に富んだ国だということを挙げている。
ウイスキー作りから、日本のこうした素敵な特徴を学び、自分の分野でもプラスとなるような発想につなげたいと感じた本であった。
これからもウイスキーの勉強、研究は続けていきたいと思います。