前回、『サントリー』のチーフブレンダーをしている輿水精一氏の著書を紹介したが、今回もウイスキーに関する同氏の本を読んだので記録していこうと思います。
今回の新書は、『大人が愉しむウイスキー入門』と言う本。
前回紹介した『ウイスキーは日本の酒である』と同様、ウイスキーの魅力を余すところなく書き記されている新書だと言える。
前回のウイスキーブログはこちら。
ウイスキーの歴史や製造工程も書かれているが、自分が印象に残った部分を中心に書き記していこうと思う。
【ウイスキーの香りには、ストレスの緩和作用あり】
・神経細胞の抑制性物質の一つにGABAというものがあり、ウイスキーにはGABA受容体の感度を高めストレスを高める作用がある。
一般的に森を散策すると日常のストレスが軽減されるが、こうした森の香りに共通する部分がオークの抽出物の中にあり、ウイスキーはストレス解消効果が高い。
【ブレンダ―としての矜持について】
・高い能力を持ったブレンダ―は、緻密さと同時に、少々楽観的で大らかに問題を捉えられることが大切。
緻密さと大らかさ、一見相反するものだが、そうしたアプローチに違和感なく立ち向か得ることこそブレンダ―の資質、と輿水氏は記している。
物事に集中して、細部にこだわる必要もありつつ、どこかで思い切った心の余裕を持つ、と言う意味では、自分も共感する部分が多いと感じた。
・ブレンダ―の仕事には、手を抜いても良い部分と、絶対手を抜いてはいけない部分があるとも言う。手間暇かけることが、細部の品質のレベルを高め、その積み重ねが最終的には大きな付加価値を生み出す。
・お客さんに商品のファンになっていただくためには、人は何に感動するのか、何に共感・感動するのか、ということを理解しなければいけない。
また異業種・異分野にあって、その道の第一人者と言われる人と接して受ける感動、その人から触発させるものは本当に大きい。創造する人、表現する人、感性を使って仕事をする人との出会いは貴重。
本当に心から共感できる内容と言えるのではないだろうか。自分も若輩ながら、他分野の領域で活躍している人と関わりを持つ必要があると思っている。自分は輿水氏の努力の寸分の一にもならないと思うけれども、仕事の姿勢に共感できる部分があるということは、同じウイスキー好きとして、そして一人の男としてとても含蓄のあるものに感じられた。
たかがお酒の話、と思う人もいるかもしれない。けれども、そのお酒には長い年月をかけた人間の深みのある物語がある。お酒と上手に付き合い、愉しめるようになるということは、そうした人間の情熱やロマンを肌で感じられる、素敵なファクターを持てるようになったということではないだろうか。
お酒を愉しめる人間になれて、本当に良かったと思う。
先日食べたオイスターバーでの牡蠣にも、白州ハイボールがよく合いました。