とりま文系歯科医師が自己投資。

読書好きな開成、一橋大卒文系出身歯科医師のマイペースブログ。読書を中心に学んだ知識をアウトプットすることで、何か社会が少しでも変わればなと思い開設。好きなテーマは小説全般、世界史、経済学、心理学、経済投資など。筋トレも趣味です。

読書感想:『夜明けのすべて』

―社会に出て、関わる人も広がって、本当に言いたいことを言って、何の曇りもなく自由に思いどおりに生きている人などそういないことを知った。

 ありのまま生きているように思える人も、そんな強い自分であるために、どこかで無理をしている。

 他人がどう思うかを考慮せず、自分の心だけに従って動ける人は、めったにいないはずだ。

 

 本日ご紹介する本は、瀬尾まいこ氏著

『夜明けのすべて』

という小説。

 

 

 同じ職場で働いている、それぞれ内部に苦しさを抱えている男女。

 PMS(月経前症候群)という症状により、自分の感情を抑えられず、周りが見えなくなり、歯止めがきかずに怒りを爆発させてしまう女性主人公。

 そして、仕事もプライベートも充実しているし、本来深刻な悩みは一つもなかったはず何に、逃げられない場や緊張を強いられる場に出ると、苦しくなる症状に突然さいなまれるようになった、パニック障害の男性主人公。

 

 

 それぞれにつらさを抱えた二人が、決して交際したり、恋に落ちたりするわけではないのだけれども、生きることがしんどい同志として、ほんのちょっとの心遣いで、支えあうことで、少しずつ生きるのが楽になっていくという物語。

 

 心温まる物語って、こういうものなのだなと思いました。

 

 

 男女が劇的な出会いをして、恋に落ちてハッピーエンド、という物語では決してない。

 だが、それだからこそ、人生は決してずっとハッピーなわけでもないけれども、少しばかりの心づかいで、救いになることだってあるという、読者の気持ちも前向きにさせてくれる小説なのではないかなと思いました。

 

 2024年2月には、上白石萌音さんと松村北斗くんのW主演で映画化もされるので、注目の作品になります。

 

読書感想:『経済学を知らずに医療ができるか!?』

 スナフキンです。今年もどうぞよろしくお願いします。

 

 今年初回の読書感想は、東京大学大学院医学研究科教授、康永秀生著の

『経済学を知らずに医療ができるか!?』

という、医療経済学の本。

 

 

 

 経済学部出身で、現在医療に携わっている自分としては、医療経済学の知識のアップデートは常に行っていきたいと思っています。

 本書は基本的な医療経済学の基礎から説明が始まり、その後応用的な各論へと展開されていき、非常にわかりやすいものになっています。

 

 特に印象深かったのは、医療費増加の要因の中で、一番影響が大きいのは、『医療技術の進歩』であり、『人口高齢化』の影響は意外に小さいというものでした。

 

 また、高齢化により医療費はある程度増加するものの、高齢化がさらに進めば医療費の増加は鈍化する、というのも興味深いものでした。

 

 社会保障関係費の中で一番大きなファクターは介護費であり、医療費よりも、介護費の問題をどう捉えていくか、今後その部分について深く調べていきたいと思いました。

2023年もお世話になりました。2024年もどうぞよろしくお願いします。

 あと数時間で、2023年も終わってしまいますが、本年もありがとうございました。

 

 個人的なことになりますが、今年は年初から緊急の入院と手術があり、なかなかハードでインパクトのある一年でした。

 

 読書感想を中心にしたこのブログでしたが、読書のペースは少し落ちてしまったかな。

 その代わり、年間100作くらい映画を見る一年でありました。

 来年はまたブログを充実させながら、読書記録を残していきたいと思います。

 

 細々としたブログですが、足をお運びくださる方も、どうぞ来年もよろしくお願いします。

 

スナフキン

読書感想:『97歳の悩み相談』

 

 

 本書は、京都・嵯峨野の寂庵にて、2019年1月27日に行われた『10代のための特別法話などもとに、再構成したもの。

 

 

『Q:人に悪く思われないか、いつも気にしてばかりいます』

という質問には、

『悪口を言った評論家たちに向かって、「みんな死んでしまえ」と思っていたら、みんな先に死んでしまった

と、自らの文学界を干された経験を踏まえて話す、瀬戸内寂聴氏。

 生前の寂聴氏の力強い言葉に、いったいどれだけ多くの人が励まされたのだろうか。

 

 寂聴氏の好きな言葉に、

『若き日にバラを摘め』という、英国の詩人ロバート・へリックの言葉がある。

 

 バラにはとげがあり、綺麗だけれども、手でつかもうとしたら傷つく。

 けれども、それを怖がっていたら、自分のものにはならない。若いうちはバラのとげでけがをしてもすぐに治る。

 だからこそ、若いうちには、傷つくのを恐れずに何事にも挑戦しなさい、という意味だが、非常に素敵な言葉ですよね。

 

 瀬戸内寂聴氏の作品、これからもかみしめて読んでいきたいと思います。

大分旅行に行ってきました。

 先月になりますが、10月19日から22日にかけて、大分旅行に行ってきました。

 

 

 大分の知人に案内されながら、様々な場所を観光し、美味しいグルメを堪能。

国宝富貴寺

 

 

 

 豊後牛のステーキや、佐伯のお寿司は本当においしかったです。

 

 

 

 別府の地獄蒸しプリンも二回目。

地獄蒸しプリン

 

 鍾乳洞なども探検し、非常に有意義な時間を過ごすことができました。

 

 

 

 来年以降も、機会を見つけていきたいと思います。

鷹来屋で見つけた、本当においしい日本酒



 

 

読書感想:『別冊100分de名著 フェミニズム』

鴻巣他者と関係を結ぶことについて、ノーベル文学賞作家のカズオ・イシグロは「横の旅」と「縦の旅」という言葉で説明しています。

 グローバルな時代において、リベラルなインテリたちは「横の旅」をする。

 つまり、世界に飛び出していってさまざまな知識人と意見交換をしたりするのだけれど、それは結局、同じ階層の人たちと話し合って「そうだね、そうだね」とうなずきあっているに過ぎない。そうではなく、「縦の旅」をしようとイシグロは言っています。

(中略)

 ですから、まったく意見が異なるような人、「フェミニズムって何ですか?」という人とお話しするほうがずっと難しい。野枝が「縦の旅」に踏み出した意義は、とても大きいと思います。』

 

 

 本書の語り手である、加藤陽子鴻巣友季子、上間陽子、上野千鶴子各氏の特別座談の中で、鴻巣氏はこのように語りかけている。

 引用元を個人的に調べましたが、おそらくここでカズオ・イシグロ氏が語っている部分のことだと思われます。

toyokeizai.net

 

 イシグロ氏のこの発言、非常に考えさせられる部分が多いのではないのでしょうか。

 

 

 自分は男性ですが、フェミニズムの課題は、全人類で考えないといけないものだと思っています。

 自分の政治スタンスはリベラルですが、イシグロ氏のいうように、自分の価値観と近い、『横のつながり』の人と話すことは非常に心地がいい。

 

 ただ、『横のつながり』だけでは、フェミニズムの課題を克服できないのかもしれません。

 そうした意味で、当時の階級社会の日本で、知識人であった伊藤野枝が、『縦の旅』に果敢に挑戦しようとしたのは非常に学ぶべきことが多いと思いました。

 

 自分の近くに住んでいる人でも、まったく違う価値観の世界に生きているような人と繋がること、自分も実生活の中で意識していきたいなと思います。

 

国立新美術館のテート美術館展に行ってきました。

 お疲れ様です、スナフキンです。

 本日は有休をいただきまして、少しゆっくり気分転換しようと思い、都心で遊んできました。

 

 都内の美術館は、月曜日が休館日のことが結構多いのですが、六本木にある国立新美術館は本日開館していたので、そちらのほうに伺ってきました。

 

 

 本日は

『テート美術館展 光 —ターナー印象派から現代へ』

という特別展を鑑賞。

www.nact.jp



 

 

 個人的に大好きなターナーは、文学のシェイクスピアと対照的に、美術のターナーとして英国美術の頂点に位置付けられており、その作品が観られるのはいいなと思い、楽しみにして行きました。

 

 

 英国風景画を支えた美学の一つに、ピクチャレスクというものがあります。

 ピクチャレスクとは、なめらかで整った『美(ビューティフル)』とは異なり、荒々しさや不規則性、突然の変化などに独自の美的価値を認める感性を指すものとされます。

 

 

 

 

 ターナーの初期の絵画の多くは、このようなピクチャレスクの熱の高まりを感じさせます。

 今回の特別展では、湖に沈む夕日が非常に印象的でした。

湖に沈む夕日

 

 

 ターナーだけでなく、光にまつわる現代アーティストの作品も非常に多くありました。

 

 

 閉会も近く、平日なので比較的人はまばらなのかなと思いきや、想像以上の盛況ぶり。

 ここまで人が多いとは思いませんでした。

 

 

 ランチは東京ミッドタウンの『ニルヴァーナ ニューヨーク』でカレービュッフェ。

 天気も良く、ワインを飲みながらテラス席で静かに食べるランチは最高でした。

 

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