―短歌は、日々の心の揺れから生まれる。どんなに小さくても「あっ」と心が揺れたとき、立ち止まって味わいなおす。その時間は、とても豊かだ。歌を詠むとは、日常を丁寧に生きることなのだと感じる。(P.179)
イーロン・マスク氏が、親しみのあったTwitterの名称とロゴを、Xに変更したことに伴い、俵万智氏が詠んだ短歌が、SNS上で非常に反響を呼んだ。
「言の葉を ついと咥(くわ)えて 飛んでゆく 小さき青き鳥を忘れず」
「このままで いいのに異論は 届かない マスクの下に唇をかむ」
ここまで完璧な短歌を、ビシッと詠んでしまう俵万智氏のセンスには脱帽するばかりだ。
あまり偶像崇拝的な形で評価したくはないが、改めて俵氏の詠む歌を味わいたいと思い、歌集を購入しました。
歌集では、5年ほど住んだ石垣島や、縁あって移り住んだ宮崎での生活の中で詠んだ歌、またコロナ禍になってからはそれに関係する歌を詠んでいる。
俵氏の言葉を借りて言えば、日常は、ありふれたことが、実は奇跡的なバランスの上に成り立っている。
忙しい日常の中に、心の豊かさを持って行きたい。