その年において、何か集中的に読みたくなる作家さんっていたりする。いわゆるマイブームなのであろうか。
2025年のこの年は、有吉佐和子氏の著書をよく読んでいます。
(『青い壺』、『非色』など)
今回の読書感想となる小説は、
『針女』
という戦後社会を描いた小説。
東京下町の針職人の家に、縫子として働いていた主人公の清子。実の親はいなかったが、その針職人の家で、娘同然に扱われていた。
清子には、ひそかに想いを抱いていた、弘一という一人息子がいた。
その弘一が、戦争により出征をすることになる。
針を踏んだという思わぬ事故により、足が不自由になった清子は、その想いを秘めたまま、出生を見送る。
しかしながら、戦後、復員した弘一は、見違えるほどに人物が変わり果ててしまった。
戦争は、都市を破壊し、人を殺すだけでなく、大事な人の精神をも蝕んでしまう。
戦争時代を生き抜いてきた一人の女性を描く中で、人間が自分の人生をどう生きていくのか、現実を真正面から受け止め、生きていく姿の中に、考えさせられるものがあるのではないだろうかと思いました。
