以前から、読みたいなと思っていた経済小説を読みました。
今回ご紹介する小説は、城山三郎氏著
『男子の本懐』
という本です。
尊敬する政治家の一人である、金輸出解禁に生命をかけた浜口雄幸総理と、それを支えた井上準之助大蔵相を主人公にした経済小説です。
第一次世界大戦後の慢性的不況を脱するために、浜口総理と井上蔵相は、まさに決死の覚悟で金本位制を断行。
金解禁は、当時すでにほとんどが金本位制に復帰している世界経済に、日本も仲間入りすることであり、経済面での国際協調の実現になる。
また、金解禁に先立って、英、米などから信用供与を得るという必要があり、そのためにも、軍縮が促進されました。
金本位制でない日本では、国内外の思惑などによって、為替相場が乱高下を続ける『通貨不安定』な状態でした。
そこに投機筋が暗躍し、地道に生産や貿易に従事する者は痛手を受ける。金本位制はこうした通貨の安定のために、目指すべき国のあり方でした。
加えて、金本位制にすることで、国で自由自裁に通貨発行する行為に制限がかかり、軍部の暴走を防ぐことができる。
「徒らに局部的の利害に跼蹐するは対局を保全する所以に非ず。軽々しく兵を動かすは固より国威を発揚する所以に非ず。政府の求むるは所は共存共栄にあり。」
先の田中義一内閣などの対中国強硬路線に対し、浜口内閣は、金本位制による国際協調と、柔軟な平和外交を目指そうとしました。
―すでに決死だから、途中、何事か起こって中道で斃れるようなことがあっても、もとより男子としての本懐である。(P.27)
こうした浜口首相の気概を、今こそ学ぶべきではないか。そう嚙み締めながら、小説を読ませていただきました。
