書店で目に留まり、『ギクッ』と思って購入した本。
自分も含めてなのですが、明らかに現代人は、本を読まなくなったのではないかな、と思います。
自分が学生の頃は、電車でもそれなりの人が本を読んでいたと思うのですが、今ではスマホをいじっている人がほとんどで、本を読む人はごく一部のような気がします。
筆者の三宅香帆氏も言っていますが、読書は人生に不可欠な『文化』です。
それは、決して労働の疲労によって奪われていいものではないでしょう。
そもそも、日本人の読書文化とはいったいどういったものなのでしょうか。
本書は、明治時代から遡る日本人の読書習慣を、時系列にそりながら、最終的に今これから求められるべき読書の向き合い方に関して、提案をしています。
そもそも、現代の読書法には、読書を娯楽として楽しむよりも、情報処理スキルを上げることが求められているのではないでしょうか。
筆者の分析で、印象深かったのは、明治時代から始まった読書文化が、現代の自己啓発書に通じる源流でないかというもの。
明治時代、図書館で大量に本を借りて読む趣味は、エリート学生をはじめとするインテリ層の男性のものだった。
また、家庭など顧みる時間もなく、立身出世のために努力を重ねるマッチョイズムを説く『西国立志編』は、日清・日露戦争へと向かう当時の源流にも合致していた。
そしてこれが、現代の自己啓発書にも通じる、『男性たちの仕事における立身出世のための読書』の源流がここにある。
自己啓発書の流行がここにあるのではないでしょうか。
自己啓発書の特徴は、自己のコントローラブルな行動の変革を促すことだと思われます。
他人や社会といったアンコントローラブルなものは捨て置き、自分の行動というコントローラブルなものの変革に注力することで、自分の人生を変革する。
また、情報と知識の違いとは何でしょうか。
〈知識と情報の差異〉
情報=知りたいこと
知識=知りたいこと+ノイズ
教養とは、本質的には、自分から離れたところにあるものに触れること。
そして人間は、自分から離れた存在に触れることを、私たちは本当に辞められるのだろうか?
私たちは、他者の文脈に触れながら、生きざるを得ない。
そういった意味で、常に読書する必要があるのではないかと思いました。
電車の中では、積極的に本を読んでいこうと思いました。