とりま文系歯科医師が自己投資。

読書好きな開成、一橋大卒文系出身歯科医師のマイペースブログ。読書を中心に学んだ知識をアウトプットすることで、何か社会が少しでも変わればなと思い開設。好きなテーマは小説全般、世界史、経済学、心理学、経済投資など。筋トレも趣味です。

読書感想:『夜間飛行』

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 古典の小説は、定期的に読もうと思っています。

 よくお世話になっているのが、光文社古典新訳文庫ですが、今回ご紹介するのは、サン=テグジュペリの著作、

『夜間飛行』

という小説。

 

 

 

 本作は、1931年に刊行された、サン=テグジュペリの小説における代表作。

 小型飛行機の墜落事故を題材とし、その当時南米と欧州を結んでエアメールを運んでいた夜間郵便にまつわる一夜の状況を描いています。

 

 物語は23章からなっており、テンポよく話が進んでいく。

 生死のはざまで、漠然とした不測の脅威が付きまとう夜間空路を滑走する操縦士。

 また、どんな小さなミスも決して許さない、非常に冷徹かつ厳格だが、孤独の中で自身を顧み続ける上司。

 物語の主人公は、生死をかけて夜間飛行を行う操縦士もそうなのですが、どんなミスも許さず、仕事に徹底的にシビアなスタンスを取り続ける上司も、もう一人の主人公だと思えます。

 

 昨今の感覚からしたら、ここまでシビアな人間は、パワハラ上司、と言われるものなのかもしれません。

 

 ですが、この上司も、上司なりに、自分自身の中で猛烈な孤独感や、プレッシャーに押しつぶされそうになって葛藤している。

 その仕事に対するスタンスが、最終的には人間の生き方にも繋がるものがあり、テンポの良い物語ながらも、非常に深いものがあります。

 

 

―勝利。敗北。そうした言葉はおよそ意味をなさない。生きることはそうした観念の足元で、すでに新しい観念をかたちづくりつつある。勝ったためにかえって民の力が弱まることもあれば、負けたために民が目覚めることもある。(P.133)

 

 南米大陸の強烈な大自然コントラストとも相まって、非常に印象的な物語になっています。

 

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