GW中、都内では最終上映となった、長澤まさみ×松山ケンイチ両氏主演の映画
『ロストケア』
を鑑賞しました。(映画タイトルは『ロストケア』)
延べ43人もの人間を殺害し、戦後になってから発生した連続殺人事件としては、最多の犠牲者を数える事件。
その事件で、〈彼〉は死刑判決を下された。
しかし、なぜ〈彼〉はここまでの連続殺人を引き起こしたのか。
連続殺人犯と、正義を信じる検察官との対峙において、現代社会の深刻な介護現場の現状を炙り出した映画だったのですが、それが本当に印象的だったので、小説も買って読んでしまいました。
善悪というものは何なのか、ミステリーの枠を超え、読者に問いかけた名作だと思います。
映画の方は、冒頭から連続殺人犯の正体が判明している中で、過去を回想するような形で話が進みます。
映画を観た後だと、その部分のネタバレは判明していますが、そのため小説は、より善悪の問いかけに対しての考察が深くなります。
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少しでも調べれば、介護業界全体の構造にも問題があることは分かるはずだ。
それを無視して一企業と個人をつるし上げ、その様子を電波に乗せて全国に流すのか。
狂っている。
金儲けなんて言語道断?
無欲無私の精神で人様に尽くせる人しかやっちゃいけない?
彼らはこれを本気で言っているのか?それを良識だと思っているのか?
金をもらわず、無欲無私で、他人の尻を拭ける人間がどれだけいると思っているのか?
恐るべき想像力の欠如。
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深刻な介護業界の皺寄せを、民間の企業や個人に押し付けざるを得ない現状に対して、誰も明確な糸口を示せずにいる状況。
日本に住む人間なら、皆真剣に考えなければいけない問題なのではないでしょうか。