お疲れ様です、スナフキンです。
映画の感想をこちらのブログで書くのは初めてなのですが、とても印象的に残った映画であり、また歴史学習の重要な文献にもなりうると思ったので、今回ブログを書いてみることにしました。
本日ご紹介するのは、ロマン・ポランスキー監督が映画化した、
『オフィサー・アンド・スパイ』
という映画。
ロマン・ポランスキー監督には、有名な作品の一つとして、『戦場のピアニスト』がありますが、これは自分が中学生の時に鑑賞し、その後の人格形成に大きく関与した作品であります。
そのため、個人的に、この監督には深い思い入れがあり、今回改めて、彼の映画を鑑賞したいと思っていました。
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【あらすじ】
舞台は19世紀末のフランス。
1894年12月22日、ドイツに軍事機密を流したというスパイ容疑をかけられた、フランス陸軍大尉アルフレッド・ドレフュスが、パリ軍法会議で有罪を宣告される。
ドレフュスは一貫して無罪を主張するが、翌年1月5日、大勢の軍関係者が見守る中で、勲章をはぎ取られ、軍籍を剥奪されてしまう。
一方、以前にドレフュスの教官だったジョルジュ・ピカール中佐は、情報局の防諜部長に任命される。組織内の風紀を糺そうとするピカールだが、一通の電報を入手したことをキッカケに、ドレフュス事件は冤罪ではないかと疑い始める。
その後、ドレフュスの無罪を確信したピカールは、軍部にドレフュス事件の再審を求めるが、上層部はそれを拒否。
真犯人が判明しても、軍の威信と、フランス国内にまん延する反ユダヤ主義の風潮と相まって、スパイ事件のスケープゴートとしてこの事件を終結させようとする。
そして、ピカールは最終的に、口封じのための実質的な左遷を食らってしまう。
しかしながら、ピカールは己の信念に従ってドレフュス事件の再審を求め、あらゆる手段を講じて動き出す…。
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高校世界史でも、ドレフュス事件は学ぶ大きな歴史的出来事の一つなのですが、この事件は個人的に、妙に記憶に残っていました。
最終的にドレフュスは、1906年に無罪となるのですが、この間に反ドレフュス(ユダヤ人)派は、『ユダヤ人たちが、ドレフュスの放免を得るために、莫大な資金源を使って国際的なユダヤ組合を作っている』とのネガティブ・キャンペーンを繰り広げました。
結果として、この事件はシオニズムの発端となったのですが、シオニズムが今も尾を引く国際的な諸問題の遠因となっていることを考えると、非常にこの事件は大きな歴史の転換点であったのではないかと思わされます。
勿論、歴史的な史実を学ぶための文献以外としても、非常にこの映画は価値があると思われます。
ネタバレになってしまうので、結末は詳しく話せませんが、最後のシーンで、ドレフュスとピカールが対峙する場面があります。
両者とも、正義や真実を常に追求し続けた人間でありましたが、時代の流れとともに、立場も変化した両者の間には、微妙な差異が生まれます。
それが非常に奥深く、考えさせられるシーンでした。
正義を追求したピカールは最後にどのようにドレフュスを想ったのか。
それを想像すると、現実社会においても、正義や真実を求めた先の、当事者としての在り方に対する自分達の覚悟、というものが求められるような気がしました。
映画を通じ、歴史を学ぶ。
今後も印象に残った映画があれば適宜ブログに書いていこうと思います。