お疲れ様です、スナフキンです。
本年一冊目の作品は、
『アウシュヴィッツの地獄に生きて』
という、強制収容所に収容され、その後生還したジュディス・S・ニューマン氏の回顧録を拝読させていただきました。
新年から戦争関連、特に強制収容所の筆舌に尽くしがたい現実を述べた本と言うのは、かなり精神的にも重たいものが有り、しっかり読むのにはかなりの体力が要ります。
しかしながら、決して目を背けてはいけない人類の歴史がそこにはあります。
ゆっくりとした時間が確保できるこの時期だからこそ、しっかりと読むことにしました。
回顧録の当事者であるジュディス氏は1919年生まれのユダヤ人。第2次世界大戦中にアウシュヴィッツ収容所(ポーランド語ではオシフィエンチム)に収容される。
ここでは、1940年6月から1945年1月までの4年7か月の間に、約110万人が犠牲になったとされている。(正確な人数は分かっていない。)
実はこの私も、ちょうど10年前の2012年、アウシュヴィッツ収容所を訪れたことがあります。当時は一橋大学の4年生であり、中学生時代から絶対に行きたいと思っていたこの地を見学するため、一人旅でポーランドを訪れた経験があります。
(当時2012年に自分が訪問した時の写真)
多くの方がご存知の通り、収容所内では、同じ人間が本当に行ったのか理解できないくらいの理不尽で凄惨かつ、人間の尊厳をことごとく踏みにじるような非人道的行為が行われました。
今でも鮮明に自分のことを記憶しています。
人間は、自分の想像のキャパシティを超えた恐ろしい出来事を学び考察すると、恐怖を超えた冷静さを獲得するのだと。
実際、目の前には凄惨な遺品や遺骨などの資料があるにも関わらず、淡々とその資料を見学していた自分がいました。
そんな自分を俯瞰し、客観的に恐ろしいと思ったことを覚えています。
普段はいくら理性を持っていても、人間は何を行うか分からない。ある意味恐怖を感じたのを覚えています。
ジャーナリストの安田菜津紀氏が巻末の解説を書いているのですが、その中で、かつて収容を生き延び、35年間アウシュヴィッツ収容所の館長を務めたカジミエシュ・スモレン氏の言葉を引用しています。
『君たちに戦争責任はない。でも、それを繰り返さない責任はある』
戦争をもはやイメージでしか捉えることが出来なくなっている現役世代、そうした我々が丁寧に人間の恐さと向き合い、二度と悲惨な歴史を繰り返さないための英知を世界中で振り絞らなければいけないと思います。
令和に生きる日本の人々も、少しの時間でも良いので考え続けていかなければいけないと思います。