とりま文系歯科医師が自己投資。

読書好きな開成、一橋大卒文系出身歯科医師のマイペースブログ。読書を中心に学んだ知識をアウトプットすることで、何か社会が少しでも変わればなと思い開設。好きなテーマは小説全般、世界史、経済学、心理学、経済投資など。筋トレも趣味です。

読書感想:『黒革の手帖 上下』

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 お疲れ様です、スナフキンです。

 お正月に特別番組で、武井咲さん主演で、松本清張氏原作

黒革の手帖

が放映されていました。

www.tv-asahi.co.jp

 

 本作を初めて知ったのは高校生時代。

 当時もテレビ放映されていて、米倉涼子氏主演のシリーズを観たのが最初でした。

 

 今回久しぶりに本作を鑑賞しましたが、ここまで長年にわたり人気のある作品は数えるほどだと思います。

 文庫本によると、本作が出されたのは昭和55年という、いまからおよそ40年前の作品。

 時代が変わっても、計り知れない人間の野望や欲望を描く作品は、いつまで経っても色あせないのだということなのでしょう。

 そういうことなら『是非原作を読んでみたい』と思い、小説を買って読んでみました。

 

 

 

 

 

 小説の内容は銀座のママ原口元子が主人公。

 元々物静かな銀行員だった元子は、銀行で得た横領金7500万円を元手に銀座のママに転身。

 その後も元子は銀座にやってくる男たちを相手に、たった一人で敢然と権力や野望を獲得するため、あらゆる手で道を切り開いていく。

 

 本作はそんな人間の本能や狡知が渦巻くホステスの世界を描いた小説なのだが、結末が非常にスリリングで、さすがは松本清張氏だな、と思い終わったのが印象的でした。

 背筋がぞっとしました。

 ネタバレは避けますが、その後の元子がどう立ち居振る舞ったのか、それは読者の想像に委ねたのかな、と個人的には読後思いました。

 

 

 題名の黒革の手帖ですが、これは元子が切り札とする手帖に由来。

 ここには男たちが税金を逃れるため作成した、銀行の架空名義口座の詳細が書かれている。元子はこの情報を男たちにさらけ出すことで、自分の思い通りに計略を図ろうとする。

 元子が銀座に出したクラブの名前、『カルネ』も、『手帖』のフランス語から由来している。それを小説で読んだ時、より深淵に触れた気がしたし、非常に感慨深いものがありました。

 

 ただまあ、現代のテレビの内容と比較すると、随所に変更点が見られるのも感慨深いものがありました。

 新潮文庫も巻末で、『現在の倫理観や価値観に合わせ、差別的表現と捉えかねない箇所が散見されるが、差別的意図はない』と勿論表記してあるけれども、40年前の時代ってこんな感じだったのだなあ、と言う隔世の感はある。

 そう言ったものを味わうのも醍醐味なのでしょうね。

 

 ちなみに40年前は歯科も、かなり羽振りが良かったみたいですね。(笑)

『税務署は怕いですね。このごろは医者、とくに産婦人科、外科、歯科医などを重点的に調査対象として狙っています。(P.202下巻)』

 時代って変わるものですね(笑)

 

 また今後も名作小説を読んでいきたいと思います。

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