先日国立西洋美術館で行われた、『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』に行ってきたが、その際に売店で美術関係の本を購入しました。
ちなみにその時の感想はこちら。
booklovers45.hatenablog.jp
現代日本人の間で人気な、『印象派』に関する本だったのですが、今回は印象派について学んだことを軽くご紹介したいと思います。
【印象派とは何か】
印象派、『印象主義』とは、19世紀後半、光と色彩を重視し、対象から受ける直接的な印象を表現しようとした芸術運動の名称。
印象派の人々が目指したことは、
『見えたままの一瞬の輝きをとらえること』
であった。
しかしながら、印象派の誕生当時は決して順風満帆なものではなかった。
当時の美術界は、美術アカデミーが全てを牛耳っており、アカデミーで認められなければ、画家として成功する道は閉ざされていた時代。
その選考基準はアカデミズムの伝統に縛られ、芸術は万人が美しいと思う理想美&普遍性を持つべきものであるという古典主義の絵画が良しとされていた。
そのため、今でこそ多くの現代人に愛されている印象派であるが、登場した当時は全く評価されず、印象派の絵画は、アカデミー主宰のサロンに出品してもことごとく落選。
そこで印象派の画家は、自分達の画を発表できる場をつくり、『印象派展』を組織、アカデミーの権威に歯向かいながら活動した。
下の絵画は第一回印象派展に出され、印象派、の名の由来となった、モネの『印象、日の出』という作品。
こうした時代背景を理解しながら絵画を見ると、また一味違った世界観を感じられるのが、美術の良いところだと思います。
・新古典主義(理想美&普遍性を追求)⇔ロマン主義(画家の感受性を尊重)
・ロマン主義+写実主義(現実をそのまま描く姿勢)+バルビゾン派(自然をそのまま描く姿勢)⇒印象派
また、19世紀中頃は、長く苦しい革命の時代が終わりを告げ、社会の主役は王侯から中産市民階級に移り変わった時代。
また、ナポレオン三世が命令したパリ大改造計画は、パリを明るい街に変え、産業革命のもたらした鉄鋼業の発展は、鉄道の拡大を促した。
その結果、人々は郊外へ出かけたり、街のカフェでおしゃべりしたりする新しい余暇の習慣が生まれた。
自分はまだパリに行ったことは無いけれども、所謂今のパリのイメージと、時代背景がリンクしやすいからこそ、印象派の絵画に対するイメージもつきやすいのかなと思う。
自分達の潜在的なイメージが、美術の着眼点を左右していると言うのは、意識をしても良いのかもしれない。
自分の感性を大切にするのも大事だが、当時の文化背景や、時代を理解することが、その絵画をより一層味わい深いものにするのだなと再認識した本書でした。