今回紹介するのは、以前から人生の師として尊敬し、今尚ご活躍されている、元伊藤忠商事会長、元中国全権大使の丹羽宇一郎氏の新書を紹介する。
『人は読書で磨かれる』
という、自分が好きな言葉も丹羽氏のものである。
豊富な人生経験をもとに、人生の生き方を指南する著書をコンスタントに出していて、毎回学ばされることが多いのだが、今回も勉強になった箇所をいくつか書き記していく。
死ぬまで、努力: いくつになっても「伸びしろ」はある (NHK出版新書)
【「心の成長」に終わりはない】
毎日一生懸命に努力を続けていると、『DNAのランプに灯りが灯る』ことがある。
ランプが灯る時期には個人差があるが、だからこそ、日々ベストを尽くしているか、と絶えず自分に問いかける必要がある。
本当の意味で自分を磨き、幸せへと導いてくれるのは、『仕事』しかない。
多種多様な人たちの中に身を置くからこそ、人として磨かれ、人間への理解が深まっていく。
人と交わったり、他者を意識したりすることで、『私』という自意識が生まれ、人間になる。
【人間は3つのステップで成長していく】
作家の城山三郎氏の小説に、『毎日が日曜日』という商社マンを小説にした作品がある。その中の主人公が社訓を語る場面で、以下のような言葉があるらしい。
-ワタシハ、アリニナレル。ワタシハ、トンボニナレル。シカモ、ワタシハ、人間デアル。
丹羽氏によると、この言葉こそが、仕事における人間の成長プロセスを表しているという。
・『アリの時代』:アリのように、黙々と働いて知識や仕事の基本を身に着ける。約10年間。
・『トンボの時代』:空から複眼的に見るトンボのように、物事を多角的にバランスよく、あらゆる角度からチャレンジする。約10年間。
・『人間の時代』:さらに努力を続けていくと、自分の仕事だけでなく、部下たちや部署全体のことを見られるようになり、会社のリーダーとして活躍できるようになる。
個人的には、アリでありつつ、トンボになれるようにする心がけを持って行きたい。
現在30代前半の自分としては、40代には、人間としてしっかりリーダーシップを発揮できるような人間になりたいと思っている。
【驚くべき日本の幸福度ランキング】
2019年度版日本の幸福度ランキング(世界幸福度報告)では、国連加盟国150ヶ国中、なんと59位で過去最下位。先進国の中ではかなり低い順位。
世界幸福度は、6つのデータをもとにランキングを出している。
・『国民一人あたりのGDP』:24位(2000年の時には2位!)
・『社会の寛容さ』:92位
・『人生の選択の自由度』:64位
・『社会の腐敗の少なさ』:39位
・『社会的支援の充実ぶり』:50位
・『健康寿命』:2位(これは断トツ。)
丹羽氏も本書で述べているが、『日本はすごい、世界に誇れる国だ』と思っているのは実は日本人だけで、世界における立ち位置は、そこまで高くないということが分かる。
巻末でも丹羽氏は、
『多くの日本人が、茹でガエルのように安閑として、将来への危機感を持たず、真実も直視せず、日本を誰もがすみたくなるいい国だと思って現状に満足をしてしまっている様では、すぐに他国に追いつかれる。』
と警鐘を鳴らしている。
丹羽氏が『死ぬまで、努力』を主張しているも、そうした想いがあるようだ。
毎日の仕事などに忙殺されて、なかなか広い視野での感覚を持ちづらいことも多いが、周りのことだけ集中することなく、広い分野で活躍できる人間になるために、自分も『努力』をしていかなければならないと思う。