とりま文系歯科医師が自己投資。

読書好きな開成、一橋大卒文系出身歯科医師のマイペースブログ。読書を中心に学んだ知識をアウトプットすることで、何か社会が少しでも変わればなと思い開設。好きなテーマは小説全般、世界史、経済学、心理学、経済投資など。筋トレも趣味です。

好きな百人一首紹介~Part2~

 お疲れ様です、スナフキンです。

 先日1年前のブログを見返していると、自分が好きな百人一首について語っている記事がありました。

booklovers45.hatenablog.jp

 

 古典を味わう魅力っていうのは自分でも重々理解しているのですが、日常生活で忙しくなると、そうした体力のいる分野は避けがちになります。

 ただ、本年は昔読んだ本も読み返しながら、知識に深みを持たせたいと思っています。また、自分の好きな百人一首の紹介を継続して行って行きたいと思います。

 

 

 本日紹介するのは、自分が歴史上の人物でも非常に人間味があって素敵な清少納言の和歌です。

 

 

〈第62番〉

夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ

(清少納言)

 

(訳:まだ夜の深いうちに鶏の鳴き声をまねて上手くだまそうとしても、中国の函谷関ならともかく、あなたと私の間にある逢坂の関は決して通ることを許さないでしょう。)

 

 誰もが知る随筆枕草子を著した清少納言

 清原元輔の娘であり、一条天皇の皇后、中宮定子に仕えた、歴史上超有名な人物でありますが、私は古文を学び始めた中学生の頃から、彼女の魅力を感じていました。

 学問的にも、源氏物語を著した紫式部と対比されることが多いけれど(『源氏物語』はまたそれでもちろん好き)、私が思う清少納言の好感が持てる特徴は、

『教養の高いインテリ感才能を、全く包み隠そうとしなかった自己主張の強さ』

にあると思います。

 そうした彼女の人柄が、この和歌にはメチャクチャにじみ出ているので、私はこの和歌がとても記憶に残っています。

 

 

 この和歌は、書の名手・藤原行成とのやり取りの一部。

 ある日の夜、二人は話をして非常に盛り上がる。しかし行成は、宮中の物忌みを理由に清少納言を残し帰ってしまう。

 翌朝、行成から、

『昨日は鶏が鳴いたから帰ったのだよ。』

と言い訳の手紙が届く。

 

 聡明な清少納言は中国の故事を引き合いにして、

鶏とは、鶏の鳴き声で、函谷関を開けさせたという、鶏でしょう?』

と機知に富んだ皮肉を言う。

 

 行成はその気の利いた返事に対し、喜びのあまり、

『違います。函谷関ではなく、逢坂の関(男女の仲を暗示)ですよ。』

と色気づいて返事をする。

 すると清少納言はすかさず、

『あなたと逢坂の関なんか通りません!』

とピシャリと言い返したのが、この歌だ。

 

 

 この和歌で言うとは、中国の故事『孟嘗君を踏まえている。

 斉の孟嘗君が、秦を脱出して函谷関に差し掛かった時、部下の一人が鶏の鳴きまねをして、それに騙された門番が門を開けて脱出に成功したというお話。

 

 つまり、清少納言は、単に行成の軽い誘いに断るだけでなく、

『私は女性だけども、中国の故事も知っているんですからねっ!』

という、非常にインテリな部分をさらけ出しているのが痛快なところ。

 

 自分も割と、普段自己主張が強い人間なので、こうした時空を超え、古典からにじみ出るキャラクター性を味わえるのは、古典を学ぶ醍醐味なのかなと思っています。

 

 清少納言の評価って、個人的な好き嫌いは分かれるかもしれないのですが、少なくとも私は大ファンです。

 『枕草子』のあのキラキラした輝きを思い浮かべながら、この和歌を詠むとまた深い味わいが出てくる感じがします。清少納言関連の本も色々読んでみようと思います。

 

 また今後、好きな和歌を紹介したいと思います。

2021年の活動計画(本年もどうぞよろしくお願いします)

 あけましておめでとうございます。スナフキンです。

 今年もマイペースに自分の視野を広げるために、ブログを続けていこうと思います。

 

 このブログを開始したのもちょうど1年前の2020年1月1日、元日でした。

booklovers45.hatenablog.jp

 

 

 ブログの中では大きな変化は無かったものの、1年間停止せず継続できたのは良かったなと思っています。今後もこうしたネットを通じて皆さんと通じ合えればと思います。

 

 

 Twitterには書いたのですが、2021年の活動計画について決めました。

 テーマは、

『2020年に築いたベースを基に、更なるレベルアップを目指す』

という形にしました。

 

 仕事の歯科のスキルもそうなのですが、文系歯科医師として、よりエッジの効いたキャラクターになるためには、プライベートでその他の知識やスキルを磨かなければいけないなと思っています。

 

 個人的には、

読書

・経済、投資の勉強

筋トレ

世界史の知識を深める

ウイスキーワインの知識を深める

英語の復習、勉強

辺りはりはしっかりとやりたいですし、また、SNSを通じて知り合った方々とも、オンオフ問わず積極的に交流を図っていきたいと思います。

 

 改めまして、今後ともどうぞよろしくお願いします!

読書感想:『名画の謎 対決篇』

 お疲れ様です、文系歯科医師スナフキンです。

 本日も以前に引き続き、中野京子氏の著作、『名画の謎』シリーズから第4弾の作品を紹介したいと思います。

 

 今回紹介するのは、

『名画の謎 対決篇』

という名前の本。

 

 

名画の謎 対決篇 (文春文庫)

名画の謎 対決篇 (文春文庫)

 

 

 

 『対決』という名前はついているものの、基本的には中野氏の感性によってチョイスされた二作品を並べ、比べることで見えてくる意外な発見を楽しむというもの

 同じ主題でも、画家が違えばここまで意味合いの異なる別物になるという、斬新な切り口が非常に面白い。

 自分自身まだまだ体系だって美術史を理解しているわけではないですが、だからこそ良く知られる有名な絵画の裏に隠されたエピソードに関して新発見をすることができ、非常に読んでいて楽しい。

 

 今回も印象に残った作品を一つご紹介したいと思います。

 

【パリのダンス場 昼の顔VS夜の顔】

ルノワールムーラン・ド・ラ・ギャレット』VSピカソムーラン・ド・ラ・ギャレット

 

 ムーランは風車、ギャレットは焼き菓子の意味。

ムーラン・ド・ラ・ギャレットは、そんな意味がアイデアマンによってつけられた、パリ北部のモンマルトルにあるダンスホールの一つ。

 パリ北部の丘モンマルトル

 当時ナポレオン三世がパリ市域を倍にすべく大改造し、空前の建設ラッシュに沸いたことから、石工や建設労働者が地方や国外からどっと押し寄せていた。

 そして安価な娯楽施設が出来、カフェ、ミュージックホール、キャバレー、ダンスホールなどが乱立し、モンマルトルは有数の歓楽地になった。

 

 この人気スポットの社交場自体を、数多くの画家がモデルとして描いたが、後世にこの『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』の名を残したのは、ルノワール初期のこの名作だという。

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 人工灯を『死んだ光』、『光の缶詰』と嫌い、陽光の千変万化する美しさを讃えたルノワールは、白昼の戸外のダンスシーンを描いた。

 当時のフランスはナポレオン3世が失脚し、やっと共和政時代が来た時代。階級制度はまだあるにせよ、貧困層でも余暇を楽しめる時代になった。

 ルノワールの作品には、これから明るい未来や人生が始まる、そうした未来を楽しんでいこうという臨場感を感じる。

 

 それから少し時代が流れ、ルノワールが当該作を描いて24年後の1900年、スペインから若い画家がパリへやってくる。

 彼の名はピカソ

 同じダンスホールだが、ルノワールの作品が昼だとすれば、ピカソは夜の顔

 昼のざわめきに比べ、夜の店内から漂ってくるのは、密やかな囁きとむせかえる香水の香りだと、中野氏は表現している。

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 ルノワールピカソのタイプに関して、中野氏は著作でこのように述べている。

-これは戸外の陽光と店内の人工灯の差だけではなく、人生の陽の部分だけを見たがるルノワールと、恐るべき目通力で人の裏の裏まで見透かし、「人間の本性は苦悩だ」と言い切ったピカソとの、且つまた、女の桃色の肌は愛しても妻を大切にしたルノワールと、様々なタイプ様々な階級の女性たちを虜にしては残酷に捨てていったピカソとの、あまりにかけ離れた感性の差にもよるだろう。(P.28)

 

 本によれば、ピカソが描いた当時のムーラン・ド・ラ・ギャレットは、貧しい労働者階級が安い入場料で踊る場所から、プロのエロティックなダンサーが踊り、金持ち客がそれ目当てにやってくる場所に変わったという背景もあるみたいである。

 

 しかし、こうした同じ場所が、有名な画家でここまで比較出来るということに、絵画のまた奥深さを感じた瞬間でした。

 

 やはり印象派は日本人にとって好まれる時代なので、これからも色々調べてみたいと思います。

約束のネバーランド展に行ってきました。

 本日は、連載完結記念として、六本木ヒルズの展望台で開催されている、約束のネバーランドに行ってきました。

(以下、明らかなネタバレは無いですが、最低限感想を書き込む中での事実描写はありますので、先にお伝えさせていただきます。)

 

yakuneba-ten.jp

 

 この展示会が開催されているのを知ったきっかけは、単行本が完結したことに伴って発刊されたファンブックアートブックの帯表紙を見てなのですが、約束のネバーランド(以下、約ネバ)に今年魅了された自分にとっては、『是非行かなきゃ!』と思い、本日訪問させていただきました。

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 入口を通った途端、目の前に広がる広大な全巻の表紙のカラーポスターがずらり。

 本日晴天といったこともあってか、非常に清々しい風景とマッチしていました。

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 館内はアニメーションや一部の展示物を除き、フラッシュ無しでの撮影が可能。

 こうした機会もなかなかないので、印象的なシーンや展示物を数多く撮影させていただきました。

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 最終巻の表紙は非常に感動的なものがありますね。

 単行本を買った人には分かるような仕組みがされており、非常に心が震えました。

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 一方鬼のお面も忠実に再現されており、是非観ておきたいと思ったものの一つ。

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 レウウィス大公なんて、本当に実在したら腰抜かしますわ。

 それが最期あんな存在感を持つキャラクターになるなるとは、非常に奥が深い。

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 最後のブースは撮影禁止だったのですが、約ネバ完結後の、

書き下ろしエピソード『番外編 Dreams Come True

の展示と、感動的なアニメーションが上映されていました。

 作品を思い出して普通に涙腺緩みました。

 

 約ネバの世界はこれからも広がっていくのでしょう。

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 鑑賞後はコラボカフェを満喫。

 すいませんその時お腹空いていなかったのでカフェラテしか頼みませんでした(笑)ただリトルバーニーショートケーキは美味しそうだった。

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 生まれてから今まで、ここまでグッズ購入やイベント参加などして魅了されたマンガ作品はありませんでした。

 2020年は社会情勢的にも色々な意味合いのあった年でしたが、約ネバに出逢えたという意味で、私にとっては本当に意味深い年でありました。

 今後もこうした世界観を大切にしていきたいと思っています。

読書感想:『欲望の名画』

 前回に引き続き、今回の読書感想も、中野京子氏の著作となります。大分ハマってきました(笑)。

 今回紹介するのは、

『欲望の名画』

という著作。

 

欲望の名画 (文春新書)

欲望の名画 (文春新書)

 

 

 本作は月刊誌『文藝春秋』の連載企画を加筆修正したもので、前回紹介した名画の謎シリーズとは少しテイストの違った、中野京子氏の絵画本と言えるかもしれません。

 

『作品の成立した背景を正しく知り、本物の教養に触れる楽しみを覚えると、今度は読者の側の鑑賞するまなざしも変わってくる。』

 中野氏の著作を通じ、この教訓を常に学ばせてもらえることが非常に多いのですが、それに加え、

絵は己の感性だけで味わえば良し、との鑑賞がいかに誤解を生みやすいか

ということも強く実感した印象的な絵画がありました。

 今回はそれについてご紹介したいと思います。

 

ドラクロワ 『怒れるメディア』〉

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 民衆を導く自由の女神で有名なドラクロワですが、今回の作品は、ギリシア神話に登場する王女メディアを主人公にした絵画です。

 

 本作にも書かれているのですが、中野氏はこの作品に関して、忘れがたい思い出があるようです。

 とあるテレビ出演の際、スタッフが某美術館の来訪者、年齢性別バラバラの十数人に、この絵を見せてタイトルも告げ、どんなシーンを描いた作品と思うか、当ててもらうということを行ったそうです。

 すると皆が口をそろえたように、『悪人に追われた母親が子供を守ろうとしている』シーンだと言ったそう。

 

 しかしながら、彼女の目に起こった真実は以下のようになります。

 

ーコルキス王の娘メディアは、叔母である魔女キルケーから妖術を受けて育った。

 そんな彼女が侵略者のイアソンと恋に落ちる。

 コルキスの秘宝を奪いに進出してきたギリシアの英雄、イアソンをメディアは助け、逆に家族を死なせ、国を捨て、敵国へ渡ってイアソンの子を二人もうけた。

 しかし、次第にイアソンはメディアに愛想を尽かし、同胞の女性と正式な結婚をすることに決める。異国の女性との結婚は認められていないので、メディアとは内縁関係だったのだ。

 

 王女メディアの怒りは激しかった。

 メディアは呪いをかけた宝冠と衣装を恋仇に送る。相手が身に着けた途端、それは燃え上がり、苦悶のうちに焼け死ぬ。

 ただしイアソンを直接殺害は考えなかった。どうしたら死よりも苦しい目に合わせられるか。

 

 メディアは彼の息子を殺すことに決めた。

 それはメディア自身の子でもあったが、復讐心が勝る。

メディアは二人の息子を連れて逃げる。イアソンは部下と追いかけてきたが、まさか自分の子まで殺めようとしているのは思ってもいなかった。

 以上がこの絵画の本当のシーン。

 

 母はわが子を守ろうとしているのではなく、殺そうとしている。

 幼い息子たちは本能的にこの先を予感し、迫りくる運命に怯えきっている。

 

 ドラクロワの作品は、観る者の視覚に激烈な感情表現を感じさせるが、この絵も非常に緊迫した臨場感を映し出しているように思いました。

 

 そして繰り返しになりますが、絵は自分の感性だけで判断してはいけないのだな、ということを強く実感したキッカケにもなりました。

読書感想:『名画の謎 陰謀の歴史篇』

 歴史能力検定が終わりホッと一息した感じの今ですが、10年ぶりに本格的に世界史を勉強し直し、また知識を思い出したいま、今後は歴史関連の著作も色々読んでいこうと思います。

 

 さて、本日ご紹介するのは、西洋文化史家、作家であり、早稲田大学の講師を務める中野京子氏の著作、

名画の謎 陰謀の歴史篇

をご紹介したいと思います。

名画の謎 陰謀の歴史篇 (文春文庫)

名画の謎 陰謀の歴史篇 (文春文庫)

 

 

 本書は『ギリシア神話篇』、『旧約・新約聖書篇』に続く、『名画の謎』シリーズの第三弾となる作品。

 私が読んだ中野氏の初めての作品は、ヴァレンヌ逃亡と言う、マリーアントワネットがフランスを亡命しようとした時の緊張の24時間を描いた作品であり、その臨場感あふれ、心震わせる筆致に魅了され、この度他の著作も読んでみたいと思い購入しました。

 

 最後の解説で、作家の宮部みゆき氏も書いていますが、日本人が西洋絵画を鑑賞する時、作品の成立した背景を正しく知り、本物の教養に触れる楽しみを覚えると、今度は自分達の側の鑑賞するまなざしも変わってくるのだと思います。

 西洋美術は必ず宗教と結びついているし、欧米人が積み上げてきた歴史観や感性を、文化の違う日本人が理解するためには、ある程度のベースとなる知識が要求されるのだと思います。←これマジ重要。

 

中野氏の語る通り、

『絵の中で語られている物語を知れば、映画鑑賞は何倍も楽しくなる』

ものだが、逆もまた然り。

つまり、『絵を見れば歴史はもっともっと面白くなる』

ということを中野氏の本では実感できるので、自分自身満足度の高い作品だと思っています。

 

 文系歯科医師として、今まで文系分野の知識を学ぶ機会が無い社会人に対して、少しでも面白く、分かり易く情報を共有できればいいな、と思っているのも、このブログを立ち上げているモチベーションでもありますので、今後も自分も知識を固めながら、色々な情報を書いていきたいと思います。

 

 一つだけ自分が印象的に感じた絵画を紹介します。

 

トロイア戦争の悲劇 グレコ『ラオコーン』】

 ラオコーンは、ミロのヴィーナスやサモトラケのニケと同様、ヘレニズム期の作品として有名なものなのですが、この絵画はそのラオコーンの最期を描いた作品になっています。

 ちなみにヘレニズム文化とは表現が難しいのですが、ポリス崩壊後、オリエントへと伝わったギリシア文化がオリエント文化と融合したものといった感じですかね。

 また、ラオコーンは、トロイアの神官の人物。

 トロイアは、小アジア北西部(現トルコ)に合った古代都市で、ギリシアとの戦いで滅ぼされたと言われています。

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 話のエピソードはこんな感じです。

-ゼウスの妻ヘラ、戦と学芸のアテナ、美と愛欲のヴィーナスという、いずれも器量自慢の三女神が美貌ナンバーワンを競った。

 

 判定者に選ばれたトロイア王子パリスは、ヴィーナスに賞杯の金のりんごを与え、ヴィーナスからは見返りに、スパルタ王妃ヘレネの愛をもらう。

 

 その結果、ヘレネはパリスとトロイアへ駆け落ちし、駆け落ちに怒りが収まらないギリシア都市国家群はヘレネ奪還で結束。ミケーネ王アガメムノンを大将に、船団でトロイアに攻め込む。

 

 だが戦争は長期化。

 ギリシアの知将オデュッセウスが、かの有名なトロイアの木馬を発表。巨大な木馬の腹部に兵を隠し、スキを見て奇襲をかけようとした。

 

 その時、絵画の主人公神官のラオコーンが、策謀を疑い、破棄するよう通告。

 するとアテナ(りんごをもらえずパリスを憎み、ギリシア側に味方)が放った二匹の大蛇が海から現れ、ラオコーンとその二人の息子に絡みつき、三人が息絶える。

 この画はそのシーンを描いたもの。

 

 非常に臨場感あふれる作品だったので、こちらを紹介しました。

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文系歯科医師が語る世界史の魅力

 お久しぶりです、スナフキンです。

 先日の日曜、歴史能力検定が開催され、世界史の1級と2級の検定を受けて来ました。

 夏場に受験をしようと決めてから数か月、ウイスキー検定が終わってからは、ほとんどの休日を世界史の勉強に当ててきました(笑)

 本日採点したところ、2級は合格したと思いますが、1級は撃沈でした(涙)

 もう少し正解するかな、思ったのですが、受験世界史の枠を超えた1級世界史の壁の厚さを実感しました。

 来年も是非歴史能力検定受けたいと思います。こうした人生の目標が出来て良かったなと思いました。

 

 

 とまあそんな形で、大学受験で世界史を勉強してから10年以上たった現在、改めて世界史を学ぶことの魅力というものを感じました。

 

 自分は紆余曲折を経て、文系から医療系の歯科医師として現在仕事をしていますが、そうした環境にいるからこそ、文系世界史』の良さと言うのが際立ちますし、10年前勉強した世界史の知識の財産を感じています。

 今回はそれについて自分なりに考えたことを述べていきたいと思います。

 

【世界史を学んで得られるメリット】

 色々考えましたが、世界史を学ぶメリットは大きく3つあるのではないかな、と思います。

 

1.自分の価値観を相対化できる。

2.現代国際社会の諸問題を、一次方程式でなく、高次方程式で考えられる。

3.自分達が今こうして生きていることは、本当にかけがえのないことなのだなと実感できる。

 

 それぞれについて簡単にご説明したいと思います。

〈1.自分の価値観を相対化できる〉

 物事を考えるとき、当然人間はそれぞれの価値観をもって判断をすると思うのですが、今の自分達の価値観が、過去の先人たちが持っていたとは限らないというシンプルなことを忘れてしまうことがあります。

 

 『国民』という概念の無い世界は当然過去にあったし、国の成り立ちを考えるときにだって、ヨーロッパそれぞれの国の成り立ちもあれば、中国王朝の変遷や、イスラーム王朝の変遷だって全部違います。

 どの国や地域が絶対的というものは無い。←超重要!!!

 この認識というものは、当たり前のようでいて、意外に忘れていることも多いと思います。

 自分達の国や共同体がスタンダードだと思わない中立的な視点、これは非常に大事なものだと思います。

 

 

〈2.現代国際社会の諸問題を、一次方程式でなく、高次方程式で考えられる。〉

 多くの日本人が現代社会を語るとき、世界が数えられる程度の非常に少ない国際関係でしか語ってないのでは?、と思うことが良くあります。

 

 誤解を恐れず言ってしまえば、日本と韓国、中国、北朝鮮などの東アジア地域、それとアメリカ合衆国の一部の国際情勢だけで、世界の枠組みをさも理解しているような人を御見受けします。

 

 国際社会は、複雑怪奇です。単純に良し悪しを決めることは出来ません。

 勿論日本国民であれば、日本の国益を元に社会を考えることは自然だと思いますが、世界が複雑であるという認識を、世界史を学ぶことで理解すれば、多くの視点から世界を語れるようになるのではないでしょうか。

 

 

〈3.自分達が今こうして生きていることは、本当にかけがえのないことなのだなと実感できる。〉

 これが一番自分の中で重要なことだと思っています。

 僕らがこうして幸せに平和に暮らして生活しているのも、過去の様々な地域の人々の、正に血と涙の結晶によるものであることを。

 基本的人権国民主権憲法、議院内閣制、民主政治、資本主義、国際連合、、、。

 ありとあらゆる、現在の枠組みや概念が、必ず世界史を辿れば起源が分かります。

 今の僕らの社会は、今でも連綿と過去の歴史と繋がっていることが実感できます。

 

 そうしたことを理解できれば、政治に参加しないことが、いかに悲劇的なことか分かると思うのですが、なかなか多くの方が理解するのは時間がかかるのでしょう。

 

 でも、だからこそ、自分がこうした発信をすることで、少しでも世界史に興味を持ってもらえたら良いなと思っています。

 純粋に知識が増えることはワクワクすることだと思います。

 自分も今回で終わりではなく、死ぬまで知識を増やしたいなと思っているので、今後ともよろしければ自分の世界史トークに耳を傾けて頂ければと思います。

 

歴史能力検定 2019年実施 第38回 全級問題集

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  • 発売日: 2020/03/11
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